
今回は1978年から2年間、放送されたテレビ番組「西遊記」のお話です。
この番組は私がさる年に因んだお話をしようと思った時、映画「猿の惑星」とともに、
まっ先に浮かびました。
そして、なんと宮崎では1月4日から、この番組を放送してるのです。
放送局も縁起を担ぎたかったのでしょうか?
ところで、「西遊記」にもいろいろありますが、私がこの番組に決めたのは、夏目雅子
さんの三蔵法師が見るのが、一番の目的でした。
夏目雅子さんの演じた男役はどうだったのでしょう?
私も、当時、観てはいたのですが、すっかり忘れていて、興味がわいてきたのです。
それで、久しぶりに観てみたら、男でも女でもない、美しくて上品な雰囲気に、何とも
いえない中性的な魅力を感じて、ぞっこん参ってしまいました。(苦笑)
そして、この番組を懐かしいと思うと同時に意外な発見があり、素晴らしい作品だった
事がわかってきました。
まず、私が最初にはっとしたのは、この番組のメイン監督の福田純という名前です。
どこかで聞いたことがあるなと思ったら、去年の秋に観た「ゴジラ」シリーズの「ゴジ
ラ エビラ モスラ 南海の大決闘」「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」「地球攻撃命令
ゴジラ対ガイガン」「ゴジラ対メガロ」「ゴジラ対メカゴジラ」の監督をした人だったの
です。
また、この番組には特撮シーンがいくつも出てくるのですが、それを担当したのが、や
はり「ゴジラ」の特撮で有名な円谷プロだったのです。
しかも、「ゴジラ」第一作で、芹沢博士を演じた平田昭彦さんもご出演されていたので
す。
芹沢博士はオキシジェン・デストロイヤーで、ゴジラとともに、海のもずくと消えたと
思っていたのに、タイムスリップして、「西遊記」に出ていたとは、これを世紀の大発見
と言わずして何と言うでしょう!!
つまり、「ゴジラ」に深く関わった人たちで、この番組は作られていたのです。
もしかしたら、この「西遊記」は、怪獣の出ない怪獣番組と言っていいのかも知れませ
ん♪
そして、その三蔵法師演じる夏目雅子さんの脇を固めるのは、孫悟空役の堺正章さん、
猪八戒役の西田敏行さん、沙悟浄役の岸部シローさんです。
みなさん、今や言わずと知れた芸能界の重鎮、大御所さん達であります♪
だけど、この人達、若かったというのもあるのでしょうか?
撮影現場では三人して、我勝ちに夏目雅子さんとお食事しようと図ったり、二人きりに
なるよう、あれこれ画策して、常に出し抜こうとしていたとか。
まあね、堺正章さんや岸部シローさんなら、そういう事、やりかねないかな?と思いま
すが、私としてはあの西田敏行さんまで一緒にやってたのが、ちょっとショックでした。
現在、西田敏行さんは、テレビ番組「探偵ナイトスクープ」で局長をされてますが、こ
んなことで泣くの?というくらい涙もろくて、私の中ではとってもいい人というイメージ
なんです。
その人が堺正章さんや岸部シローさんと、夏目雅子さんを奪いあってたとは・・・
でも、それより許せないのは、撮影当時、お酒の席で偶然、知り合った女性の家に行き
、お風呂に入ってるところを、その女性の夫に見つかり、裸同然の姿で、街なかへ追い出
された事です。
なんで、お風呂に入ってたのでしょう?
そのあと、女性と何かやるつもりだったの?
そういえば、漫画界随一の良心と慕うちばてつや先生も、若かりし頃、女流漫画家牧美
也子さんのヌードを見たくて、松本零士先生と女湯を覗いたというエピソードを打ち明け
ておられましたが、その時も私は相当なショックを受けたんです。
「もう、あんた達なんか知らない!!」(笑)
しかし、そういう事はあったものの、番組自体はとっても素晴らしい出来栄えだと思わ
ずにはいられませんでした。
そして、この番組をもう一度、観た事で、このお話の持つ重要な意味がわかってきたの
です。
今までは、孫悟空と仲間たちが、不思議な妖術を使う妖怪と戦い、冒険の旅を続けるお
話くらいにしか考えてなかったのですが、この物語は仏教の教えを説きながら、それと同
時に相反する現実と、どう向き合えばよいのか、我々に、疑問を呈しているのです。
まず、悟空は初め、誰の言う事も聞かぬ暴れん坊という設定になっています。
そこで、お釈迦様が身の程を知らせるために、悟空に世界の果てまで行ってご覧と言い
、きんとん雲に乗って、世界の果てまで行ったと思っていたら、お釈迦様の手のひらから
一歩も出ていなかったり、500年も岩の中に閉じ込め、それを助けるのが、三蔵法師と
いう天竺にお経を取りに行くお坊さんなのです。
悟空を天下一の暴れん坊にしたのは、仏教の教えによって、一人前の大人に成長させる
ためだったのです。
しかも、仲間の猪八戒や沙悟浄は、その昔、悟空のせいで、天界を追われ、それぞれが
憎みあう者同士で、どうしたら彼らと協力して上手くやっていけるのか、それとなく考え
させてくれます。
そして、旅の途中で不思議な妖術を使う妖怪と戦う訳ですが、妖怪が襲ってくる理由に
、三蔵法師を食べたいからというのが、結構あるのです。
それは、三蔵法師のような徳の高いお坊さんを食べると、不老不死の体になれると言わ
れてるからなのです。
不老不死と言えば、中国を、武力で初めて統一した始皇帝が望み、臣下の徐福が、その
霊薬を日本に探し求めに来たという伝説が残っていますが、不老不死は古代中国の人が望
んだ究極の願望だったのではないでしょうか?
つまり、煩悩の最たるものが妖怪という訳では?
宗教は、人生にかなり悩んだ人が熱心な気がしますが、人生を生き抜くうえでの知恵が
沢山、含まれているのも、これまた真なりなのでしょうね?
そういう私も、お正月には神社に初詣に行き、クリスマスにははしゃぎまわって、宗教
をただのイベントとしか捉えてない面も多々あり、もっと真摯に宗教と向き合わなければ
いけないなと、この「西遊記」で考えさせられちゃった次第です。
ところで、怪獣の出てないこの怪獣番組、怪獣博士はどう思ったのかしら♪