奈々の これが私の生きる道!

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映画「ブラッド・ダイヤモンド」

2009-07-15 15:59:23 | 映画・テレビ
結婚式。
人生の晴れの門出に、純白のウエディングドレスに身をつつみ、花婿の瞳を見つめながらエンゲージリングの交換をする花嫁。
その時の、花嫁の目には、感動の涙があふれ、固い絆で結ばれた花婿に永遠の愛を誓うのです。

ダイヤモンド。

それは夫婦をつなぐ美しい愛情の証しにもなりますが、時には悲劇を引き起こす原因になる事もあります。

この映画は、ダイヤモンドの妖しい輝きに魅せられ、数奇な運命を辿った男達の物語です。
時は1999年、世情不安定なアフリカのシエラレオネが舞台で、ダイヤモンドの採掘権を巡り、内戦が激化しています。
その内戦で、数千の尊い命が奪われ、また何百万もの難民を作り、その飛び火はダイヤモンドとはまったく無関係だった人達にも及びました。
ここに登場するソロモン親子もそうした中の一員です。
ソロモンの息子ディアは親思いの勉強のよく出来る子供で、将来医者になるのが夢でした。
それは彼が住んでいる国が貧困に喘いで、満足な医療が受けられず、命を落とす人が多かったからかも知れません。
しかし、彼らの夢は無惨にも切り裂かれ、息子のディアは革命統一戦線URFに拉致され、ソロモンもまた捕らえられて、ダイヤモンド採掘の作業に従事させられてしまいます。
ダイヤモンドはURFにとって貴重な資金源なのです。
その採掘現場で、ソロモンはおよそ百カラットはあると思われるダイヤモンドの原石を発見し、そのダイヤを巡って、ダイヤの闇取引を生業とするディカプリオを始め、様々な人間が絡んで、物語は展開していきます。
このURFは祖国の自由と安定を奪取する為に、何ら抵抗するすべを持たない民衆に銃を向け、無慈悲にも容赦なく殺戮していくのです。
彼らの畏怖すべきところは大量殺戮を終え、歓声と共に、体をリズムに乗せながら、彼らの歌を歌う事にあります。
それは、いかにも有りがちな士気を鼓舞する勇壮な歌ではなく、ゆったりした明るい楽しげな歌で、その場面に私は思わず戦慄を覚えてしまいました。
彼らにとって、人を殺すのは何でもない事なのです。
むしろ、楽しくてたまらない事なのです。
また、このURFは人間形成未発達の子供を拉致して少年兵に仕立てあげ、殺戮に荷担させるのです。
ソロモンの息子ディアも洗脳されるのですが、ソロモンの我が身を振り返らぬ強い愛情に、忘れかけていた感情がほとばしり、ディアの目から涙がこぼれるシーンはとても感動的でした。

それにしても、いくら大金が手に入るとは言え、ディカプリオの権謀術数たくましき商魂と、次から次に襲ってくる生命の危険に立ち向かうバイタリティには唖然としてしまいました。

レオ様。
お金の為とは言え、そこまでやる?

ダイヤモンドといえば、ワシントンのスミソニアン博物館に、ホープ・ダイヤモンドと呼ばれる史上名高い呪われたダイヤモンドが陳列してあります。
このダイヤモンドの所有者はみな事ごとく不幸に見舞われ、非業の死を遂げた人は延べ20人以上を数えるそうです。
その中には、あのルイ16世とマリー・アントワネットも含まれていて、共に断頭台の露に消えたのは歴史の1ページとして、みな知るところです。

何故、人はダイヤモンドに心を奪われるのでしょう。
今日もまたどこかでダイヤモンドを巡って、様々な悲喜劇が生まれているのかも知れません。