農村ライフ 日々是好日

山形・庄内平野でお米を作る太ももの会広報部長の農村日記

始末合ったが?

2020-11-17 20:11:54 | 日記
晩秋のこの時期、
農家のおとーさん方の間でお決まりの挨拶といったら、
「始末合たがや?」

始末が合うとは、
秋の農作物の収穫そして出荷もあらかた済んで、
後は冬を迎える準備だけだなあ、
ようやくホッと出来るなあといった状態です。

始末が合った人は、
「だいたい」「まずまず」「あらがた」「やっとで」
などと安堵の表情を浮かべます。

始末の意味を調べると、
物事の締めくくりをつけること。
後片付けをすること。処理。
用例「火の始末」「始末に困る」
などと出てきます。

さらに始末が合うには、
江戸時代の商人たちの商いの心得が表されていました。

始末とは、文字通り物事の始めと終わりです。
始末するとは、商いにおいて始めと終わりがピタリと合うように
帳尻を合わせるという意味があるのだそうです。

江戸時代の商人たちは無駄を省き質素と倹約を美徳として、
物を有効に活用することが「始末を合わせる」ことだったようです。

したがって「始末が合う」とは、
春に種を播いて秋に収穫する1年のサイクルの中で、
ちゃんと暮らしていけるだけの蓄えと再生産できる貯えを確保できたか、
帳尻を合わせることが出来ましたか、という意味だったのですね。

不幸にもまだ始末が合わない人は、
「もう少し」「まだまだ」「じぇんじぇん」「合うどころの話でね」
などと暗い目をして肩を落とすのでしょうか。
そういった人がいないことを祈りますが。

これから雪が降り年の瀬が迫って来ると、
ちょっと昔だったら農家のおとーさん方の挨拶の定番はこうでした。
「どさ(何処に)稼ぎ行ったや?」

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