③スーパーと病院通いは週一度病の身体が日常となる(た)
④頬杖のまま振り向く妻に 「仮面が落ちるよ」とからかうカモメ館(ま)
3月に60才で退職した後も再任用でがっちり働いていた妻だったけれど、癌再発の話を聞いた瞬間に「仕事を辞める」と決断していた。幸い夏休みに入っていて、仕事に大きな支障はない。管理職が次の講師の人を探すためにも早く決めるべきという判断だったのだろう。また癌との長いつきあいが始まる……このときは二人ともそんな風に考えていた気がする。
④の歌も、いつものやりとり。彼女はよく頬杖をついたまま顔を両手で引っ張り、しわを伸ばして平面的にする癖があった。その時私はいつも
「そんなに顔の筋肉を引っ張るとお面みたいだね、顔がとれて正体がばれるよ」
とからかっていた。
このあたりはまだ、妻の気紛れに付き合う感が強かったかもしれない。
※「カモメ館」とは、海沿いの喫茶店。震災で海沿いにあったお店の多くは 再開できないままだったが、ここはまた始めてくれたのを知り、このとき病院帰りにドライブがてら寄ったのだった。
④頬杖のまま振り向く妻に 「仮面が落ちるよ」とからかうカモメ館(ま)
3月に60才で退職した後も再任用でがっちり働いていた妻だったけれど、癌再発の話を聞いた瞬間に「仕事を辞める」と決断していた。幸い夏休みに入っていて、仕事に大きな支障はない。管理職が次の講師の人を探すためにも早く決めるべきという判断だったのだろう。また癌との長いつきあいが始まる……このときは二人ともそんな風に考えていた気がする。
④の歌も、いつものやりとり。彼女はよく頬杖をついたまま顔を両手で引っ張り、しわを伸ばして平面的にする癖があった。その時私はいつも
「そんなに顔の筋肉を引っ張るとお面みたいだね、顔がとれて正体がばれるよ」
とからかっていた。
このあたりはまだ、妻の気紛れに付き合う感が強かったかもしれない。
※「カモメ館」とは、海沿いの喫茶店。震災で海沿いにあったお店の多くは 再開できないままだったが、ここはまた始めてくれたのを知り、このとき病院帰りにドライブがてら寄ったのだった。