龍の尾亭<survivalではなくlive>版

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『顔 FACE』横山秀夫を読む。

2022年08月04日 10時50分46秒 | 本を読む
横山秀夫のデビュー作『陰の季節』に登場する脇役の婦警を、その数年後に改めて主人公にした、D県警が舞台の警察小説だ。
代表作『半落ち』と同時期に書かれた、と解説にある。横山秀夫らしい楽しく読める連作短編になっている。

平野瑞穂は、鑑識で似顔絵を書く仕事をしていたが、警察所内の事情でその仕事を奪われてしまう(『陰の季節』所収の「黒い線」)。
この『顔FACE』は、プライドを持って取り組んでいた似顔絵の仕事から外されたことに苦しみ、かつ組織の中の「婦警」といういわばジェンダーバイアスの極限的な「記号」を背負いながらも、それでもなお「警察官」であろうとする平野瑞穂。

横山秀夫らしい読ませる筆致で描いた良作品だ。

 さほど期待していなかった分、逆に引き込まれた。

週末、時間があればオススメです。