黒木華の映画『来る』を観た。
カテゴリーとしてはホラー映画なのだろうが、怖さは半分人間の側にある。そして残りの半分は、その化け物を招来して鎮める話になる。
妻夫木聡の糞なダンナっぷりもなかなかいいが、やっぱり黒木華はホラー映画に相応しい。
ただし、それは話の前半にすぎない。
後半は松たか子の怪演を中心に話が離陸していく。
主演が岡田准一ってのもよく分からない。この話に主人公とかあるんだろうか?という疑問も涌いてくる。
お話の枠組みこそが主人公か?
キャストも観ていないのに、黒木華と松たか子が共演している不思議。
前半のホラー展開……からの中盤の人間模様のダレ場……そして後半の霊能者集合による化け物との対決。
実に不思議な感触の映画だった。
ホラーというよりはSF。
子どもを巡るホラーの短編連作と言う形を取りながら、贅沢に役者たちを配置して、惜しげもなく展開していくパワーが主役か。
結局化け物の正体は分からないままだ。
あるいはこの作品を映像化した蛮勇をたたえるべきか?
怪演といえば、柴田理恵、げえっす。
お暇なら、そして何でも観てやろうのヒトならオススメの一作。
まとまりのよいウェルメイドな作品をお望みの方は絶対観ないでください(笑)