龍の尾亭<survivalではなくlive>版

いわきFCのファンです。
いわきFCの応援とキャンプ、それに読書の日々をメモしています。

犬の点滴(2)

2011年11月13日 21時03分28秒 | インポート
血液検査で白血球が普通の5倍。
肝臓が全体的に腫れている。
組織検査のサンプルを取り、送ってみるけれど、リンパ腫の疑いが大きいとのこと。

肝臓ガン、ということか。
とりあえず抗生物質とステロイドの投薬。家で点滴をすることになる。

犬の点滴?

んー、良く分からん。

右前足にシリコンの針を埋めてゴムのキャップをし、顔にエリザベスカバー?をつけて家に戻ってきた。

〆て2万3千円。医療保険が利かないってこういうことなのね(トホホ)。

家に戻ってから、犬の点滴という初体験の準備。
いやいやけっこう疲れました。
病気で元気がなくなっていたからまだ良かったけれど、天井からつり下げた点滴の針をセットしてケージの中に入れるまでまた一仕事でした。

年齢を考えると手術はどうだろう。
となれば悪性だと抗がん剤使用、ということになる。

検査の結果が心配だが、とりあえずは待つしかない。

今までは散歩にときどき付き合う程度だったが、病気になるとこちらも身体を寄せていくことになる。
病気の身体はそれだけでも辛いだろうし、治療行為自体、動物には理解できない理不尽な扱い、でもあるだろう。

でも、この感じは子育てにやっぱり似ている。幼児の頃子どもが病気になって何もしゃべれないとき、こんな風に病院にいったり看病したりしていたのだった。
考えてみると、父親の最後も少し似ていたかもしれない。

人は、動物から人間になって、また動物に帰っていく。
その生きることの基層を、飼い犬の点滴は改めて実感させてくれたようだ。

点滴でとりあえず熱が引いた「老嬢」は、餌も水も摂りはじめ、ぐっと元気を取り戻してきた。
とりあえずは一安心。

だが、来週末には検査の結果が届く。
保険が利かないから、手術でも抗がん剤でもなかなか大変である。

医療保険が利かないアメリカの人は、こんな風に命をお金で換算しながら生きていくのかしらん。
日本人はこういう場所から遠いところに今までいたんだなあ、と、いろいろ考えた週末だった。







犬の点滴(1)

2011年11月13日 20時21分00秒 | インポート
今週半ば職場にいるとき、老母からメールが来た。

「犬の食欲が全くないので、夕方病院に連れて行きたい」

四半世紀前、まだ若かったころなら犬の病気で仕事を切り上げるなんて考えられなかった。

だが、今は違う。
犬も「家族の一員」ってなことになっている。

正直いささか気持ちが悪い。
私にとって、犬は犬だ。
もっといえば、人間だって犬みたいなものである。
生きるだけ生きて、死ぬときは死ぬ。それでいいじゃないか、と思う。

「生命」はもちろんとりあえず一番大切なものだし、いざとなったら執着するのだろうけれど、我執を振り回すのは本人だけで沢山だ。
周りのモノ全てが「生命」以上の価値を持たないかのように振る舞うのにはいささか閉口する。
「生命」のリミットとしての死。
そこは、人間の最後の悪あがきが現金で賭けてある場所ではなかったか。

ま、そういうのは今時流行らないのだろう。

まして、連れあいを震災直後に亡くした老母にとっては、柴の老嬢が「唯一の財産」である。
小論文の添削を早めに切り上げて、動物病院に連れて行った。

うちの柴犬は12歳。まだ寿命というのには少し早い。
だが、食わせ放題食わせているので、体重がかなり重く、足取りもよたよたしている。
最後の命をどうこういうより、早めにダイエットさせておいてやるのが動物自身のタメなのだが、食べさせることが愛情表現になっている母親には、そのあたりなかなか難しいらしい。

甘やかされた最近の動物たちが集まる動物病院の待合室では、お互いに興味津々でありながら、ちょっと怯えた様子で間合いを計り合っている。

「とりあえず熱があるので、それを下げれば食欲は戻るだろう」

という獣医さんの見立てで、抗生物質を注射してもらい、一晩様子を見ることになった。

ペットを飼っている人はご案内だと思うが、動物の診察台は、比較的高い。
高いところに乗せると犬などは怯えるためか、おとなしくなって都合がよいという話を聞いたことがあるが、そに乗せるのも一仕事だし、診察台でも直腸検温や注射、触診など、うちの「娘」はいちいち吠える。

柴犬は比較的うるさい、のだそうだが、それにしても触られ慣れていないからだろう。

首を羽交い締めにしてじっと怯えて暴れる犬を押さつつなだめていると、教師の仕事も実はこんなものかもしれないな、と、ふとおかしくなってきた。

一晩様子を見てみたが、いっこうに食欲が戻らない。
翌日の夕方もう一度車に乗せて動物病院へ。

このときはもう、車にも飛び乗れないほどになっていた。

具合がよくならないのを見て、お医者さんが検査をしましょう、とおっしゃった。

採血、エコー、レントゲン、と、首をつかんだり、両足を握ったり、鉛のエプロンを着てレントゲン室で押さえ込んだりして、数時間悪戦苦闘。

犬も疲れるだろうが、私も疲れた……(苦笑)。