28日午後からOMセミナーのオプショナルツアーで3ヶ所の建築見学へ行きました。最初が京呉服の問屋街「室町」の京町家「無名舎」で、座敷で40人ほどの見学者に持ち主自ら説明。
京都の商人の心意気がこの町家に凝縮されていて、無駄を省くこと、規格化することが徹底され、畳から規格化された寸法は簡単な間取り図で建てることが出来、障子や建具も規格化され他所から持ってきてもピッタリ合うようになっていると、冬の寒さには厳しいが夏の暑さ対策は様々な工夫がされていること。建築に携わる者はこの町家の良さが判らなくてはいけないと、京町家と京都の文化に愛着を持って暮らしていると語られました。日本建築が規格化を得意としたことが町並みの景観形成に役立ち、木割寸法が部材の共通化を発展させ、日本建築文化をより素晴らしいものにしたのですが、その得意な技術は現代のプレハブ住宅の発展にも通じているようで、景観的には逆効果もあり少し皮肉な感じもしました。
表通りは祇園祭のコースであり、2階から眺めることが出来る祭りの特等席となっている。玄関横に14畳ほどの通りに面した部屋は以前の白生地問屋の店舗部分であり、住まいへは一度奥の外部へ出て、右に玄関があり、来客はそこから座敷に通される。玄関は第一中庭に面している。
玄関左手に中庭に面した縁側があり、そこを通り8畳と床の間付10畳2間続きの和室が冠婚葬祭や正月の挨拶のハレの場であり、奥に広めの中庭があり、奥の間と続く、座敷は2つの中庭に挟まれ、開け放つと開放的で夏の風通しの工夫がされている。
2階は1階間取り同様、畳の8畳と板張りの10畳があり、床付の板張り10畳は能の練習をする部屋との事、通り土間は2層分の吹き抜けで木組みの梁が美しく、高窓とトップライトから光が差し込む、吹き抜けは火災時の防火対策も兼ねているそうである。通り土間には昔から使っている棚や食器、かまどがそのままあり、ガスコンロも使われているが他は昔のままの道具を今も使われているようである。
座敷は火鉢が2つ置かれていたことや、道具や建具も昔のままで、京都でも最も良い状態で維持されている町家の一つだと思います。