風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

東京建築散策

2008-09-01 22:22:56 | インポート

Photo Photo_2 一泊二日で設計打合せの慌しい日程でしたが、建築にどっぷり浸かれた東京行きでした。初日は羽田から松下電工の汐留ミュージアム「村野藤吾 建築とインテリア展」へ直行、直筆のスケッチや図面、船舶のインテリアや家具の展示など中々見れない展示物が多く、見応えのあるものでした。

その後、有楽町から日本生命ビル(村野藤吾設計)の横を通り、千代田線に乗り換え赤坂(今回の宿泊地)へ、丁度日生劇場の内部見学を問合せしていて、公演のない時に見学出来そうです。(見学のお願いをしてみると劇場部担当の方はご両親熊本出身とのこと、急に身近に感じると共に見学日の楽しみが増えました)

Photo_3 ホテルに荷物を置き赤坂の街をぶらぶら歩きながら 02 黒川紀章氏設計の国立新美術館へ、ここは以前東京大学生産技術研究所があり二・ニ六事件に関係のある歴史的建造物があった為JIAが保存要望書を出していたのですが、黒川氏と共同設計している設計事務所のトップがJIA会長であったことから、保存要望書を取り下げたと言うモヤモヤとした経緯があります。そのせいでしょうが残す必要があったの?と思うような保存された建物の一部が残っています。

うねるガラスのファサードとガラスの水平リブ、ほこりや掃除を気にするのはお節介な設計者の悪いクセです。内部は大きな吹抜けにレストランの逆円錐形のコンクリートが迫力があり、魅力的な空間です。気になるのはレストランに天井が無いこと、厨房排気は一度地下まで引き下ろし排出しているのでしょうか。それとも(マサカ)吹抜けに排気してる?またまたお節介です。

ウイーン美術館「静物画の秘密」展を見た後、3階に上がると連続セミナー「建築・都市・アートの視点から考える環境」の第1回目村上周三氏「文化と環境の持続可能性」が始まるところで飛び入りで入れてもらいました。環境には文化の評価も必要とのことで、世界12文明と言われているもので現存しないメソポタミアやインカなど7文明、現存するものにイスラム、中国、インド、ヨーロッパそして日本の5文明とのことで、日本が現存する5文明とは知りませんでした。認識不足とホント?なのとチョット疑心暗鬼です。

日本の地方に残る郷土文化を大切にすることと環境を良くすることを一緒に考える必要があるとの事ですが、もう日本各地で取組んでいることのように思います。会場から東京近郊の新興住宅地の文化はどう考えるのでしょうかと鋭い質問 「むずかしいところです」との答え、拡がる大都市周辺開発や都心再開発で既存文化がどんどん消滅している東京で地方文化と環境の大切さを語られるのに矛盾を感じました。

短期日程の時なるべく荷物は軽くしようと思うのですが、今回も東京に着いて数時間で4冊も本を買ってしまい、丁度良かったカバンはずっしり重くなりました。買った本の「私と日本建築」A・レーモンド著を読んでいるとF.L.ライトと帝国ホテル建設のため大正時代に来日、接した日本文化の特殊性-自然と一体となった空間や夏のお客に滝の掛け軸で涼感を演出しもてなす気遣い、最小限の構成で美を表現する文化、モダニズムそのものの文化が日本には昔から存在し、そのような文化を持つ国は世界中何処にも存在しないと語っています。そして80年前既に欧米化されつつある日本文化の衰退も予測し、無くなる前の日本に来れたことに彼自身大変感謝しています。日本文化が「世界の12文明」とA・レーモンドが言っているような内容に、本の重さが少し軽くなった気がしました。

カミナリと雨の中、東京ミッドタウン、赤坂サカスあたりもぶらぶら。