熊本へ帰る日の朝、JRで内子(特急で25分程)へ行きました。駅からしばらく歩くと川沿いにしだれ桜が満開になっていて、ソメイヨシノしか見慣れてない私としては感動でした。
内子町は早くから重要伝統的建築物群保存地区に指定され、古い町並み(小さな町です)は観光的にも有名ですが、保存された建物だけでなく今も生活している家が混在していて好感を持ちます。(保存された建物はある意味生きていない建築かもしれません)緩い坂道沿いの古い町並みには、みやげ物屋、喫茶・食事処などがあります。そんな中気になるものが名前にチョット引いてしまう酢卵ドリンク(特産らしく、ビンに入ったオレンジ色の飲物)、柑橘類の無人販売?格子の前に並べて売ってあり、ハッサク(4個入 100円)を買ったのですが、お金は格子から突出た筒に入れます。入れると中から「ありがとう」、「袋あげましょうか」と返事があります。(無人販売のようにする意味が無いと思うのですが)
「商いと暮らしの博物館」には大正10年頃の薬屋の暮らし振りを人形を用いて再現してあります。店頭では番頭さんが「ケチャップと言う珍しいものが手に入ったよ」と売り込みをしています。奥では2人の丁稚が「横文字ばかりで私にはこの仕事は向いてない。辞めようか思う」などグチを言っていて笑ってしまいました。写真右は内子座(芝居小屋)で、中から最近の若者の歌が聞えていて変なマッチングに、入りたい衝動を抑えながら電車の時刻が迫っていたので駅へ向かいました。
内子が繁栄したのは和紙と木蝋の生産で、特に木蝋は海外にも輸出していて写真の上芳我(かみはが)邸は木蝋豪商跡(重要文化財)として資料館になっています。敷地面積1300坪の中に母屋(写真左、中央)、離座敷、離部屋、釜場、土蔵、蝋搾り小屋、資料館が点在し、往時の隆盛や木蝋作りの大変さを感じさせます。チケットの裏に「何の因果ではぜとりなろた、離れ小枝がおそろしい。はなれ小枝はしぼりもなるが、綱がきれたら命まで。鳥の中でも喰われぬとりは、ろうとりはぜとり油とり。」とはぜとり歌が書かれています。富の集中にはそれを支える人たちの苦労があったと言うことでしょうか。