風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

今日は建築で

2006-01-18 20:46:04 | インポート

HP管理人から「最近ブログに建築の話題がないね」と言われました。建築は計画、設計、工事監理があり、計画の時はイメージを模型で表現するので良いのですが、設計、工事中は細かく紹介しても遅々として進んでいない感じですし、面白みもあまりないので、つい周辺の話題へそれて行きます。書いていても楽しいし、読まれる方もその方が良いのかなと思いながら。

しかし、設計事務所のブログなので、今日は建築でいきます。

Photo_4 工事中の建物を2棟紹介します。熊本市の隣、益城町の秋津川公園に建つ公衆便所とみなみYMCAの保育室増築です。公衆便所は10年程前は年に3、4棟設計していましたが、最近は機会もなく久しぶりです。内容的にはコンパクトな建物ですが、トイレとしての機能性を満足させながら、アイデアや個性的な空間づくりが出来る楽しい設計の一つです。

Photo_5 Photo_6 Photo_7 秋津川の写真の左奥に建ちます。(駐車された車の先)3つのコンクリートの箱(天井なし)の上に木の腕木を斜めに取付、木造の屋根を浮かせています。浮いた屋根と壁の間は開いていて、そこから採光と換気をします。(部分的に雨が降込まないよう透明のパネル付)

壁は杉小幅板のコンクリート打ち放しで、コンクリート打設時(流し込む)に壁の巾しか無く、出来上りも一発勝負になるので失敗が許されないシビアな施工になります。コンクリートを綺麗に施工する秘訣は、設計した本人が念力を込めることしかなく、当日は作業着を着て施工に参加します。(型枠をタタキ、竹の棒でツキます。-古いやり方ですが手作業に勝るものなし) 出来具合の結果は数日して型枠をはずした時しか判りません。コンクリートは硬化時化学反応による熱を発生しますが、その熱がコンクリートに不思議な力を与えてくれるようで好です。(セメントはエジプト時代から使われていたのですが、なぜ硬化するのか科学的に解明はされていないと言います)

Photo_9

みなみYMCAは新築オープンして2年足らずですが、スポーツクラブに併設された体育英語幼稚園が人気があり、2、3才児までが対象だったのですが年長になっても引き続き利用したいとの要望で急遽保育室を増築しています。本館はRC+S造ですが、こちらは地盤下に電気、給排水のインフラが埋設してある為木造です。幼児期は出来れば木造の中で生活させるのが良いように思います。キズが入ったりヒビが入ったりしますが、古びたり破損する事がこころに大切なものを与えてくれる気がします。(・・・我家はコンクリートだったのですが)

小さな建物ですが、出来上るのを楽しみにしています。