<コメント>
3月16日、新北九州空港の開港にあわせてスタートした「スターフライヤー(SF)」離陸良好のようだ。低価格に加え、どこかのキャッチフレーズではないが、「早い(早朝便)」「安い(他社より7,000円安い)」「うまい?(ゴージャス)」が受け支持されている。
しかし、このまま安泰ではない。限られた機材での運航のため、想定外の整備が必要な事態になると欠航となってしまう。事実この1ヶ月で数回起こっている。
もう一つは、早朝深夜便への陸路のインフラ。乗り合いタクシーなどの手段はあるものの、自力で空港から目的地へ移動するしかない。今後、「安全」はもとより、フライト以外の満足度をどう上げて行くかが、安定経営の基盤となりそうだ。
(毎日新聞) - 4月27日17時20分更新
日本の空に漆黒の機体が飛び立った。先月16日に開港した新北九州空港と羽田空港を結ぶ新航空会社「スターフライヤー」(SF、堀高明社長)。先発の新規参入組が苦戦し、原油高、格安競争と荒天模様の国内路線で、巡航高度に到達できるか。【高橋昌紀】
週明け早暁の羽田空港(東京都大田区)で唯一明かりがともったSFのカウンターでは、午前5時55分発始発便の発券作業が進む。日産系車両会社に勤める神奈川県平塚市の渡辺一雄さん(41)は、出張で福岡県苅田町の現地工場に向かうところだ。「午前9時の会議に出席できます。福岡空港利用では無理」。福岡市に帰る自営業、野尻哲也さん(29)は「金曜最終便(北九州午後11時半発)で上京しました。土日の休日をフル活用できた」と話した。
羽田発の始発便では、競合する日本航空(JAL)に対して3時間、福岡空港行きの各社と比べて30分以上の差をつけている。羽田行きの最終便も、新北九州発だと約3時間半、福岡発でも2時間遅い。こうした早朝・深夜便の利便性が、SFの売りの一つである。
今のところ新北九州-羽田路線に特化し、1日12往復。運賃は2万5800円(大人普通片道)と、JALより約7000円安い。首都圏-北九州間の年間旅客数は約200万人。旧北九州空港利用者はこのうち30万人だけで、ほとんどは新幹線か福岡空港を利用していた。SFは細かい時刻表設定と割安感で、一部を取り返す狙いだ。
機体でも差別化を図る。SFのエアバス機は、通常より26席少ない計144席。全席革張り、液晶画面、パソコン・携帯電話充電用電源なども標準装備する。内外装や客室乗務員の制服などは黒色で統一。そのスマートさは、ライバルも「一度は乗ってみたくなる」(JAL)と評価する。
大手より運賃を抑えつつ、手厚いサービスを提供する--。こうした手法は、米国ニューヨークを拠点にするジェットブルー(00年就航)の成功が有名だ。革張り席など豪華仕様が商用族らに好評で、大手が模倣するほどになっている。
ただし、航空業界には逆風が吹き荒れている。98年にドル箱の新千歳-羽田路線に参入した北海道国際航空は、02年に経営破たんした。大手との割引競争などが経営を圧迫。当初の就航機数の少なさ(1機)も響いた。格安運賃を売りに98年に就航したスカイマークエアラインズは、体制不備が原因とみられる機体の整備ミスが相次いでいる。
SFは、先行2社の教訓を生かし、新品の3機を保有。来年2月には4機目を投入して上海などの国際線参入もうかがう。
3月16日の就航第1便の座席は5分ほどで完売となり、同月の平均搭乗率は74.1%を記録した。北九州地区に工場を持つ日産や、九州電力など主要株主が社員の出張に使うなど支援する。
だが、4月の搭乗率は5割程度に落ちてきた。移動の少ない時期とはいえ、業界では搭乗率6割が一つの目安。「まだ首都圏での知名度が不足だ」と鈴木紀男・経営企画部長は認める。
対抗するJALにはマイレージなどの利点がある。福岡路線では利用者にアピールする割引競争も激しい。航空アナリストの杉浦一機さん(58)は「SFも今後、早朝・深夜便の値下げを検討すべきだ。収益安定のため、複数の路線展開も必要だ」と指摘する。
☆スターフライヤーのホームページ
☆新北九州空港のホームページ
3月16日、新北九州空港の開港にあわせてスタートした「スターフライヤー(SF)」離陸良好のようだ。低価格に加え、どこかのキャッチフレーズではないが、「早い(早朝便)」「安い(他社より7,000円安い)」「うまい?(ゴージャス)」が受け支持されている。
しかし、このまま安泰ではない。限られた機材での運航のため、想定外の整備が必要な事態になると欠航となってしまう。事実この1ヶ月で数回起こっている。
もう一つは、早朝深夜便への陸路のインフラ。乗り合いタクシーなどの手段はあるものの、自力で空港から目的地へ移動するしかない。今後、「安全」はもとより、フライト以外の満足度をどう上げて行くかが、安定経営の基盤となりそうだ。
(毎日新聞) - 4月27日17時20分更新
日本の空に漆黒の機体が飛び立った。先月16日に開港した新北九州空港と羽田空港を結ぶ新航空会社「スターフライヤー」(SF、堀高明社長)。先発の新規参入組が苦戦し、原油高、格安競争と荒天模様の国内路線で、巡航高度に到達できるか。【高橋昌紀】
週明け早暁の羽田空港(東京都大田区)で唯一明かりがともったSFのカウンターでは、午前5時55分発始発便の発券作業が進む。日産系車両会社に勤める神奈川県平塚市の渡辺一雄さん(41)は、出張で福岡県苅田町の現地工場に向かうところだ。「午前9時の会議に出席できます。福岡空港利用では無理」。福岡市に帰る自営業、野尻哲也さん(29)は「金曜最終便(北九州午後11時半発)で上京しました。土日の休日をフル活用できた」と話した。
羽田発の始発便では、競合する日本航空(JAL)に対して3時間、福岡空港行きの各社と比べて30分以上の差をつけている。羽田行きの最終便も、新北九州発だと約3時間半、福岡発でも2時間遅い。こうした早朝・深夜便の利便性が、SFの売りの一つである。
今のところ新北九州-羽田路線に特化し、1日12往復。運賃は2万5800円(大人普通片道)と、JALより約7000円安い。首都圏-北九州間の年間旅客数は約200万人。旧北九州空港利用者はこのうち30万人だけで、ほとんどは新幹線か福岡空港を利用していた。SFは細かい時刻表設定と割安感で、一部を取り返す狙いだ。
機体でも差別化を図る。SFのエアバス機は、通常より26席少ない計144席。全席革張り、液晶画面、パソコン・携帯電話充電用電源なども標準装備する。内外装や客室乗務員の制服などは黒色で統一。そのスマートさは、ライバルも「一度は乗ってみたくなる」(JAL)と評価する。
大手より運賃を抑えつつ、手厚いサービスを提供する--。こうした手法は、米国ニューヨークを拠点にするジェットブルー(00年就航)の成功が有名だ。革張り席など豪華仕様が商用族らに好評で、大手が模倣するほどになっている。
ただし、航空業界には逆風が吹き荒れている。98年にドル箱の新千歳-羽田路線に参入した北海道国際航空は、02年に経営破たんした。大手との割引競争などが経営を圧迫。当初の就航機数の少なさ(1機)も響いた。格安運賃を売りに98年に就航したスカイマークエアラインズは、体制不備が原因とみられる機体の整備ミスが相次いでいる。
SFは、先行2社の教訓を生かし、新品の3機を保有。来年2月には4機目を投入して上海などの国際線参入もうかがう。
3月16日の就航第1便の座席は5分ほどで完売となり、同月の平均搭乗率は74.1%を記録した。北九州地区に工場を持つ日産や、九州電力など主要株主が社員の出張に使うなど支援する。
だが、4月の搭乗率は5割程度に落ちてきた。移動の少ない時期とはいえ、業界では搭乗率6割が一つの目安。「まだ首都圏での知名度が不足だ」と鈴木紀男・経営企画部長は認める。
対抗するJALにはマイレージなどの利点がある。福岡路線では利用者にアピールする割引競争も激しい。航空アナリストの杉浦一機さん(58)は「SFも今後、早朝・深夜便の値下げを検討すべきだ。収益安定のため、複数の路線展開も必要だ」と指摘する。
☆スターフライヤーのホームページ
☆新北九州空港のホームページ