おもしろいCMはたくさんつくられていますが、最近とりわけ「おおっ!」となったのが、日清カップヌードルのCM「この味は世界にひとつ」→http://www.nissinfoods.co.jp/product/cm/
いまのところ公開されているのはMISIA編とJamiroquai編で、大ヒットした名曲のPVをそっくりそのまま再現している。歌詞の一部はカップヌードルの宣伝文句に変えられているものの、歌っているのはなんとご本人。
MISIA編を見たときすでにおもしろいな~と思ってましたが、ジャミロクワイ編を見たときは、もーぶっとんだ!
世界中でメガヒットしバカ売れした名曲Virtual Insanity、あの超・超傑作PVが、突然テレビから流れてきたんだもの。しかも*ジェイ・ケイ本人が歌って踊ってるんだもの!しかも「腹へった~Oh~カップヌードル5つ食べられるくらい~♪」って日本語で歌ってるんだもの!!びっくりしたわあ~(*追記:どうやら歌声はジェイ・ケイでなく日本人のアフレコのようです)
このCMはすごい。
なにがすごいって、これが「パロディ」ではなくて、ほぼ完全なる「コピー」であることがすげー。
もっとも、出演してるのがオリジナル作品のアーティスト本人だから、「コピー」という言い方は適当じゃないのかもしれない。「セルフリメイク」とか「セルフカバー」とか言うべきなのかもしれない。
けど、実際このCMは、歌詞の一部をわずかに変えてあることをのぞけば、「リメイク」でも「カバー」でもない。オリジナルそのまんまの「再現」、というより「複製」です。椹木野衣的に言うならば、「サンプリング・アート」と呼ばれるものに近いのかもしれません。
サンプリングとは、かんたんに言えば、盗用、複製、贋作。
オリジナル作品に主観的なアレンジを一切くわえることなく、そのままのかたちで「盗む」こと。コピーした全体、あるいは部分をつかい、変形して、異なる作家によるあたらしい芸術として提示することを意味する。
ハウス・ミュージックの世界などでは、もちろんサンプリングはごく普通の手法として確立しているわけですが、アートの世界にも大きな影響をあたえてきました。
カップヌードルのCMは、そのサンプリング・アートがお茶の間にまで進出してきたひとつの実例ではないでしょうか。Virtual InsanityのオリジナルPVはジョナサン・グレイザーが監督しています。カップヌードルのCMディレクターは、グレイザーの作品から、いわば「盗用芸術」を作ったわけです。
とにかく、このCMの映像は、伝統的な「パロディ」とはまったくちがう。
「世界にひとつ」と言いながら、じつは複製可能であることも暗示させるという、心憎い皮肉。
そこが、すごくおもしろいと思う。
そして、とりわけジャミロクワイ編を見たときに直観的に感じたのは------同じ延長線をずうっとさかのぼってゆくと、そこにとんねるずのPVパロディと同じ精神があるんではないだろうか?と、いうこと。
「このCMはパロディじゃない」と2回も言っておいて、ルーツにPVパロディがあるっておかしいんじゃないの、と思われることでしょうが。
でも、考えてみていただきたい。
とんねるずによるPVパロディとはいったい何だったのか、ということを。
とんねるずのPVパロディは、厳密に言うと、パロディよりも完コピすることのほうにより重心があった、と思います。
そりゃもちろん、芸術家ではなく芸人さんがやることですから、戯画化やおちゃらけはありました。笑わせなきゃいけないわけだから。でも、もしあのPVパロディをグラフで表現するとするなら、直線の両端の「パロディ」と「サンプリング」のどちらにベクトルがむいていたかといえば、「サンプリング」のほうだったと思う。
とんねるずは、マイケル・ジャクソンやプリンスやMCハマーを「からかう」ためにPVパロディをつくったんじゃありません。むしろマイケルやプリンスやハマーそのものになろうとしていた。
彼らの作品のすばらしさを、戯れつつ「再現」したかった(とんねるずのPVパロディを見てマイケルファンになった、と言う人もいるくらいです)。
とはいえ、もちろん彼らそのものになることなんかできるわけない。彼らと同じレベルで歌ったり踊ったりは、絶対にできない。だから、とにかく衣裳や、セットや、カメラワークや、振り付けや、そういった表面的なものをそのまま「コピー」することに全力をそそいだわけです。
「サンプリング」は「パロディ」ではないのである。・・・サンプリングは対象の本質に多くを負っているのではなく、対象の本質とは無関係な部分、むしろ対象の本質によって不必要とされる部分、あるいは表面性・・・に深い関心を抱いているのだ。
「サンプリング」は、このアナキズムに対する渇望を癒してくれるために欠くべからざる武器ではあるだろう。
(『シミュレーショニズム』椹木野衣 河出文庫)
とんねるずのPVパロディに誰もが衝撃をうけ、20年以上たったいまでも語り継がれているのは、それがふつうの「パロディ」ではなかったからです。もしこれが、スタジオの簡単なセットでちょこちょこっと作られてただけだったり、極端に戯画化されてたりしたら、おそらく視聴者はすぐ忘れてしまっていたことでしょう。
「新たな前衛を構成するための武器」であるサンプリングという手法を、意識するとしないとにかかわらず、笑いの世界でとんねるずが追求していた、ということ。
わたしがとんねるずを真に「革命家」だと感じ、「暴れん坊」だと感じるのは、カメラ破壊事件といった伝説よりも、むしろこういう面においてなんです。
発端は、マイケルやプリンスへの強いあこがれであったとしても、とんねるずのPVパロディ(いや、PVサンプリングと言うべきか)は、決してオリジナルに従属したり、オリジナルの下位にあまんじるような卑屈さはなかった。サンプリングという前衛的な手法をつかうことによって、自律的な、あたらしい「作品」をつくりだしていたのです。
・・・まあ、ご本人たちは、そんな理屈っぽいことを意識してやってたわけじゃないだろうけども。
でも、だからこそ、良かったのかも。
無意識のなかで自分たちが「おもしろい」と思うものを徹底的に掘り下げたからこそ、できたことなのかもしれません。
ファイアーさんなりのパロディーですね?(笑)
ライオネル、マイケル、プリンス、ハマー・・・
まず、とんねるずのお二人がその人たちの音楽性、スタイルが好きなんでしょうね。
だから細かく観察もしているだろうし。
PVパロディをしながら、面白いと思った動き、何かに繋げらると感じた瞬間に
とんねるちゃんはギャグを入れてくる。
基本的には熱演という言葉がピッタリで、ダンスなど何時間、何日練習したんだろうと
頭によぎります。
これは野猿にも繋がってきますよね。
終わった時は「おお!素晴らしい」という感動さえ少しは抱きますし。
本家顔負けのセット、大道具、小道具。
TV業界での最高技術を駆使して製作されていましたよね。
これもまた、今みても色あせない一つかもしれません。
あ、河村隆一、広末涼子なんていうのもありましたが(笑)
以下、たわいも無い文章ですが・・・
マジ歌に想ふ・・・拝見させていただきました。
私もここ数年、とんねるずのマジ歌が聞きたいと思っているワンフーです。
もちろん、「とんねるず名義」の歌。
月1でもいいから「みなさん」でそういうコーナーを作って欲しいんですよね。
人気のある曲(ヒットした)
雨の西麻布、嵐のマッチョマン、迷惑でしょうが、情けねえ
はもちろん、
寝た子も起きる、人情岬、大きなお世話サマーなども個人的に大好きで
名曲と言える曲は沢山ありますよね。
アルバムの中の曲でも良い曲はありますよね。
ANNがあった頃は発売の度に聞けたりしたのですが。
とにかくもう二度と歌っている姿を見れないというのは悲しい。
今歌うと、どういう感じになるのかな?という楽しみもあります。
歌といえばもう一つ、とんねるずの特徴としてアイドル、歌手、ミュージシャンの交流が
多いというのがあると思います。
チェッカーズ、アルフィー、安全地帯、吉川晃司、スター、ジョージ山本・・・
中々歌う姿を見なくなった、
宮沢りえ、渡辺まりな、工藤静香、小泉今日子、松本伊代・・・
タカさんが80年代風ダブルのスーツ&グラサンを掛けて一緒に
吉川さんと「ラビアンローズ」を歌ってもいいと思いませんか?(笑)
ミュージックアワーがいいと思ったのはそういう名曲なども紹介されているので
なおさら良いと思ったんです。
「みなさん」でもそういった歌のコーナーを作って欲しいですね。
とんねるちゃんと歌は切っても切り離せない関係ですから。
ああ~わかってくださってうれしい(涙)
>ライオネル、マイケル、プリンス、ハマー・・・
まず、とんねるずのお二人がその人たちの音楽性、スタイルが好き
まさにそうですね。
宇多丸さんが「矢島美容室は人種差別では」なんてラジオで言ってましたが、
どこをどう見たらそういう感想になるのか、
どうにも理解に苦しみます。
>河村隆一、広末涼子なんていうのも
これね~リアルタイムで見てないんですよね(汗)
でも、すばらしいですよね。
ノリさんが最後にエビの天麩羅になっちゃうやつ、大好き(笑)
>とんねるずのマジ歌
これはすべてのワンフーの悲願ですよね。
時間があき過ぎて、もう難しいんでしょうかね?
どんな事情があるのか、よーわかりません。
DJ OZMAを入れて何とかワンフーの願いを叶えようとしてくれたのかもしれないですが、
やっぱり二人の歌が聴きたいんですよね~
ミュージックアワーはいいですよね。
過去のVTRもかなり長く見せてくれるし。
演歌の人にも生バンドでじっくり歌ってもらえるし。
ベテランと流行アーティストのコラボなんかも、
見てみたいです。