とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

美の壷

2006年09月01日 12時14分06秒 | 日本的笑世界
「美の壷」という番組がおもしろいです。
教育テレビで毎週金曜午後10:00~10:25放送。ナビゲーターが谷啓さん。

番組は、文字どおり、古美術や工芸品を鑑賞する"ツボ"をわかりやすく紹介するというもの。

といっても、値段のつけられないような骨董品を前にウームと顔をしかめて鑑定する、といった肩ひじはった内容ではなくて。

あくまで一般人の手に届くもの、あるいは日常のなかで使えるものを紹介してくれる。日常の中のほんものの美を、どう見分けるか、を教えてくれる。おもしろいです。

もともと、器や工芸品が大好きでして。陶器市に行ったりなんかしたら、一日中でも品定めしています。工芸品の職人になりたいと、一瞬真剣にかんがえたこともあるくらい。あまりのぶきっちょさに断念しましたが…。

伝統工芸界は後継者不足が深刻なようですね。作り手の数も減り、結果品物の値段が高騰して需要が減り…という悪循環もあります。貴重な技術がちゃんと後世につたえられていくかどうか、心配です。


まあそういうわけで、「美の壷」という番組自体がわたしのツボにハマるわけなのですが、この番組の魅力は、やはり谷啓さんが案内役だというのが大きいんです。

毎回谷さんは、気持ちのよい日本家屋の一室や縁側で、古伊万里のそば猪口あたりをナデナデしながら、飄々といかにも楽しそうで、好奇心いっぱいの風情でナビゲートしてくれます。

美術品の良さを、音楽や笑いや演技にたとえながら語ってくれる(というかひとりごとをつぶやく)のが、楽しいんです。もしこれを、ダンディな俳優さんあたりがやっちゃうと、ちょっとイヤミかもしれません。谷啓の起用は、実に絶妙です。

大人の余裕、というよりも、遊び心にあふれてる。たとえば「良寛の書」の回で、良寛にならって書いてみた書は「ガチョーン」(笑)。

また、谷さんの唯一の話し相手は、とってもきれいな猫一匹。そうですよね、クレージーキャッツだもの、猫じゃないと。そして、その名も、ハナ!谷さんが「おいハナ」と呼ぶたびに微笑んでしまいます。

先日見た回では、植木等さんから暑中見舞いが来たという設定になっていました。クレージーキャッツカラーが色濃く出ているのも、楽しい。もちろんBGMは、ジャズです。

「とんねるちゃんも、年をとったらこんな番組やってほしいなあ…」と思うような、とてもすてきな番組なんです。


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