とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

星野仙一物語~亡き妻へ贈る言葉

2006年04月01日 15時52分18秒 | とんねるずの映画
2005年1月2日新春特別企画ドラマとして、TBS系列にて放送。
石橋貴明、黒木瞳主演。

公式HPはこちら→http://www.tbs.co.jp/hoshinosenichi/index-j.html

このドラマを観て、プロ野球という「夢」を、さまざまな人たちが支えていることを知りました。
そして、プロ野球という「夢」に、たくさんの人たちが支えられていることも。

星野仙一さんの奥様・扶沙子さんが闘病生活をされていた頃、星野さん(当時中日監督)が目に見えて痩せていたことを、よくおぼえています。事情を何も知らなかったわたしは、星野さん自身が病気なのかと心配したものです。

それでも彼がシーズン最後まで監督を続けたのは、扶沙子さんの「日本一になってほしい」という強い願いがあったからだということを、このドラマで知りました。

真の"闘将"は、扶沙子さんだったのにちがいありません。弱い心を最後まで誰にも見せずに、文字通り命がけで野球の夢を見続けたのは、扶沙子さんでした。プロ野球は、そんな人たちに支えられている・・・

ドラマの中で病と闘ったのは、扶沙子さん(黒木瞳)だけではありませんでした。もう一人、星野監督の幼なじみ・小原(石黒賢)は、難病で、病院で寝たきりの生活を送っています。

星野さんは、なにかというと彼を見舞う。彼は中日関係の新聞記事をすべてスクラップして、いつも眺めています。仙ちゃんが夢を追うことが、彼にとっての生きる力でもありました。残念なことに、彼は亡くなってしまう。でも彼は最後まで、仙ちゃんに会えたことを感謝していた。

役者は、舞台に立っているかぎり、親の死に目にもあえない---とよく言われます。野球にかぎらず、夢を与える立場の人にも苦しみがあり、夢を支え、夢に力をもらう人にも苦しみがある。

妻の病気という苦難に耐えながらも、たくさんの人々に野球を通じて夢を与えた星野さんの姿に、タカさんがだぶりました。私生活で苦労があっても決してそれを見せず、わたしたちに楽しさだけを与え続けて来てくれた人。

タカさんが星野さん役にキャスティングされたのは、おそらくその"熱さ"や破壊的な所をかわれてだったろうとは思います。でも観ている内に、タカさんはこの役の生きざまそのものに共感したんじゃないだろうか…と思えてなりませんでした。

客観的に見たドラマそのものの出来は、正直なところ、それほど良くはありません。キャラクターの造型も平板だし、展開にも何のひねりもない。いまどき、スーパーの買い物を茶の紙袋に入れてて、フランスパンがのぞいているなんて演出、とても信じられません。長女役の内山理名さんはいまひとつで、彼女が出てくると家族の物語が急に安っぽい学園ドラマのように見えてしまったのは残念(ファンの方ごめんね)。次女役の上原多香子ちゃんは、おさえた演技ながら光っていました。

黒木瞳さんは、やっぱりすばらしい。「あなたに会うために生まれてきたのね」なんてクサい台詞にも、しみじみとした夫婦の絆を感じさせることができる。名優です。

彼女がこの台詞を言うのは、夫婦だけで温泉旅行をする場面なのですが、このシークエンスはとても良かったです。真夜中に、ひとり布団に座って慟哭するタカさんがすばらしかった。

もしかしたらタカさんの中には、長年友人として同僚としてつきあってきた友、吉野さんの死への想いも、あったのかもしれません…勘ぐり過ぎかな。


特典映像には、短いですがタカさんと星野さんの対談もあり…タカさん、めちゃくちゃ緊張してました(笑)。まったく、どうしてこの人は、いつでもギリギリがんばっちゃうのかなあ!
タカさんの阪神タイガースのユニホーム姿…ある意味貴重映像かもしれません♪





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