とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

メジャーリーグ2

2006年10月22日 14時20分40秒 | とんねるずの映画
『メジャーリーグ2』
(Major League II デヴィッド・S・ウォ-ド監督 1994 アメリカ)


タカさんお誕生日だね45才だね&日本シリーズまっさかりスペッシャル!

今年1月3日放送「とんねるずのスポーツ王は俺だ!」で、シカゴホワイトソックスの井口資仁選手が、「タカさんは先輩メジャーリーガーですから」と言っていました。一気に井口の好感度があがったわたくし(笑)。

もちろん、彼が言っているのは、映画『メジャーリーグ2』のことです。

観ている方は多いでしょうし、普通にレビューするのも芸がないので、今回は主にアメリカでの映画評をひろってみたいと思います。乏しい英語力をフル回転ですので、わかりにくい部分はご容赦のほど!


まず、わたし自身の『メジャーリーグ2』体験を。

これは劇場で観ました。いまはなき梅田劇場か三番街シネマか、そのへんだったと思います。
ほぼ満席で、スクリーンにタカさんが登場した時は観客がどよめきました。

さらに、性格の悪いチームオーナー(マーガレット・ウィットン)にむかって、タカさんが笑顔で悪態をつく(しかも日本語で!)場面では、場内大喝采! 悲鳴に近い爆笑がまきおこりました。映画館でこういう盛り上がりは非常にまれ。いまだに忘れられない体験です。


さて、アメリカでの映画評ですが、おもしろいことに、批評家と一般の観客とで、評価がまっぷたつにわかれています。

プロの批評家からの評価はさんざん。「オリジナルとはくらべものにならない」「テンポが悪く、見るべきところがない」などなど(まあそれは正しいんだけど)。見事なまでに同じ論調。タカさんについてはまともな批評すらなく、単にペドロ・セラノ(デニス・ヘイスバート)に気合いをいれるへんな日本人、としか紹介されません。


一方、観客はタカさんが大好きになってくれました。

英語版Wikipediaでは、こう紹介されています。

"Tanaka(Takaaki Ishibashi) is acquired in part of the deal that sent Parkman to Chicago. He speaks very little English and uses a dictionary to look up certain translations. He's full of energy and provides a spark for the Indians eventually, most notably Pedro Cerrano."

「タナカは、パークマンのシカゴ(ホワイトソックス)行きと入れ替わりでチームに参加する。英語はほとんどしゃべれず、単語をさがすのに辞書を手放せない。元気いっぱい男で、最終的にはセラノをはじめとするインディアンズの選手たちに喝を入れる役目を果たす。」

「元気いっぱい」な日本人、というイメージは、ハリウッド映画初でしょうね(この映画以降も見かけないし)。


次は、Amazon.comでのカスタマーレビューより。

"<Whoever thinks this is a bad movie "HAS GOT NO MARBLES!"(Taka Tanaka)>July 19, 2005 A Kid's Review
This is THE best baseball comedy I've ever seen! And whoever dosen't think that HAS GOT NO MARBLES! (後略)"

<この映画をけなす奴には、「ビー玉がねえ!」(byタカ・タナカ)>
これは最高の野球映画だ!そう思わないやつらはみんな「玉なし」だぜ!

・・・ちょっと誉めすぎですが、タカさんのセリフがよほど気に入ってくれたんでしょう(笑)。


Yahoo.comのユーザーレビュー。

"<YOU HAVE NO MARBLES!!!> by lancerbird13 Feb 8, 2004
This movie has one of the funniest lines in cinematic history: YOU HAVE NO MARBLES!!! And what makes that funny is that it is coming out of Tanaka's mouth. You'll get what I'm saying if you see the movie. Overall, it was well done for a sequel even though I was disappointed that they didn't bring Wesley Snipes back."

<ビー玉もってねえのか!!>
この作品には、映画史上まれにみる最高に笑えるセリフがある---「YOU HAVE NO MARBLES!!!」しかも、このセリフがタナカの口から発せられるからこそ、おもしろいのだ。映画を観れば、わたしの言いたいことがわかってもらえるはず。ウェズリー・スナイプスが抜けたことは残念だったが、続編としては非常にいい出来である。

うん、いい分析だ♪

ちなみに、アメリカの映画データベースや通販サイトでは、必ずおもしろい場面のセリフが記録されていて非常に便利なのですが、タナカの「You have no...you have no...Marbles!!」は、必ずと言っていいほど引用されています。


でも笑えるだけではなく、タナカが説く<サムライ・スピリット>って、かなり説得力もあるんですよね。「心は平和、カラダは戦士!」---<強き日本人>タナカは、ビビっているワイルド・シング(チャーリー・シーン)を見て言い放つ---「根性のねえ野郎だ」。

そこには、ハリウッドがアジア人を描く時の、過度に理想化されたオリエンタリズムもなければ、カネモチ日本人への風刺もない。タナカという(あるいは石橋貴明という)ひとりのクレイジーな男がいるだけ。しかも彼はアメリカ人をなにほどとも思っていない。

正直、爽快な気分になります(笑)。まったく、なんという快挙!


最後に、小林信彦氏の評を紹介させていただきましょう。

<石橋貴明in「メジャーリーグ2」>(抜粋)

×月×日(東京)

 ニューヨークの友人たちにすすめられた「メジャーリーグ2」の初日にかけつける。
 「石橋貴明だけ見る価値があります」
と、みんなが言った。
(中略)
 次のカットで、捕球に失敗したタナカ(石橋貴明)が倒れるので、若い観客はどっと笑う。テレビ番組「みなさんのおかげです」のファン層ですね。
 しかし、日本人じゃなくても、この映画、石橋のハイテンション演技が一番受けるのじゃないかな。だいいち、日本のコメディアンで、おなじみのキャラクターのまま、ハリウッド映画に出て成功したのは石橋が最初ではないか。とにかく、ぼくは大笑いをしました。
 この映画はワールドシリーズ進出寸前で終るので、3が作られるのじゃないか。タナカもぜひ頑張って欲しい。
 それにしても超忙しい石橋がこの映画をいつ撮影したのか、いろいろ訊いてみたい気がする。日本語でワイセツなことを言い、英語のスーパーが出るのも、なにやらおかしかった。


(『コラムの冒険』新潮社 1996)






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