杉並区立郷土博物館へ行った。
生涯の多くを杉並区で過ごしたという作家:有吉佐和子の回顧展
『有吉佐和子没後30年記念特別展』をみるためだ。
自転車で行ったみようかとふと思ったが、地理に自信なく、結局
交通の激しいバス道路を行くことになるので電車とバスにした。
場所は大宮八幡の近く、和田堀公園の奥にあった。
先月末、横浜の「海の見える公園」内の「神奈川近代文学館」での
『須賀敦子の世界展』をみたとき、展示のなかに有吉佐和子の
写真があった。お二人はカトリック学生連盟時代から長い交流が
あったという事を知り意外な感じもした。
今回も会場を探しながら公園内を歩き、あの時の期待感も思い返し
ながら会場に向かった。
さて博物館の建物の横には移設された古民家があり、機織機や
糸くり機なども展示され杉並でも養蚕が行われていたということだった。
このあたりは遺跡も発掘され歴史ある土地のようだ。
郷土博物館の中のこじんまりとした一室が今回の展覧会場。
写真、著作、自筆原稿・・・須賀敦子さんの筆跡と似ていてびっくり。
特に町春草装丁の本は手にとってみたいような美しさだった。
愛用した品々、着物、洋服に、珍しい立派なお雛様などもあり、
見に来ていた高年女性たちの話声が一段と大きくなっていた。
展示品の中の橋本治の手編みセーターの出来は失礼ながらちょっと失望。
文芸春秋のかつての恒例文士劇での花魁姿や三島由紀夫等文士との楽しそうな
語らい風景などの貴重な録画も観られた。
有吉佐和子の小説を最近は全く読んでいなかったのだが、没後30年と
いうことで復刊されている本も多くみかける。社会問題への先見の明が
あったということも再評価されている。
展覧会の前に「江口の里」「青い壺」を読んだら面白くて次々に
読みたくなった。小説のテーマも多岐に及んでいるので
著作を読むことでさらに違う世界への興味も広がりそうだ。
53年の短い生涯で今も色あせない60作を生み出したバイタリティの
もとは「裂帛の気合」だそうだ。少しは見習わないと。