以前書いたものだが、全6話なのでお付き合いください。
交通事故(森進一の娘をはねた)
これからの話は、オートマチックもエアコンもパワーウインドーなどもない時代の話だ。
題名は、「交通事故」副題が、「森進一の娘をはねる」。
入社3~4年目の私は、証券マンとしてぼちぼち自立出来そうな手応えのようなものを感じていた頃だった。
自分で開拓したお客を連日訪問して超多忙な毎日だった。
今日も今日とて、車で外交後、大口注文に多少浮かれて帰路を急いでいたのであった。
しかし、事件はそんなときに起こる。
文章との関係はありません。
6月下旬、梅雨真っただ中、蒸し暑く今にも降り出しそうな雲行き、すぐに案の定バケツをひっくり返したような土砂降りになってしまった。夕方、6時頃、普段ならヘッドライトを付ける時間ではなかったが、それを点けても見通しは最悪だった。乗っていた車は、軽自動車、エアコンは当然ないので、日中は、三角窓(運転席と助手席の窓には、当時、三角形の窓ガラスが前部についていてそこから風を取り入れるようになっていた。)を全開にして外の風を受けてかろうじて暑さをしのいでいた。ワイパーはほとんど効果がない。しかもそのワイパーは、時々雨に負けて作業をしばしば遅延するような不定期ワイパーだった。窓を開ければ雨が降り込む。閉めれば暑くてフロントグラスが曇って見えない。開ければ降りこむ。閉めれば暑い見えない。開ければ・・・。閉めれば・・・。
そんな過酷な条件の中、私は、京都の今出川通りを東向きに、烏丸通の交差点を南に向けて右折しようとしていた。いつもならば左手には母校(新島襄の京都大学)が見えるはずだが、全く視野に入ってこない。十分に前方を確認したつもりだったが、右折した先の横断歩道上で、「ガッシャ―ン!!」ボンネットに強く何かが当たった音が響く。
人だ。瞬間、ハンドルに相当な衝撃を感じ、「やってしまった。」
後方から、「バカヤロー!」の罵声が聞こえる。
続く。
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