〇 番外 「幽霊子育て飴」 六道の辻
みなとや幽霊子育飴本舗 公式HPより
京都には、とても信じられない言い伝えが多い。東山六道の辻に奇妙なエピソードを持つ菓子(飴)があるので皇室には特に関係ないが紹介したい。
登場するのは、若い女性の幽霊。場所は鳥辺山から清水坂を下りた六道珍皇寺辺りである。いかにも幽霊の出そうなところで、昔から葬送の地であり京都屈指の心霊スポットである。六波羅蜜寺への道と清水通の交差点、「檀林皇后九相図」で有名な西福寺の角に「みなとや幽霊子育飴本舗」はある。
六道の辻?
檀林皇后(橘嘉智子)九相図 自らの死後の変化を書かせた。
話と言うのは、その昔、ある夜、店先に飴を一つ求める妙齢の女性がやって来た。生気がなく何か様子が変に思ったが、一つ一文で売ってあげた。次の夜も一つ一文の雨を買い求めて帰った。そのように6日間続けて買って帰ったが、7日目になって代金がないので汚れているが仕立てのよさそうな羽織を差し出して飴をくれと言う。何か事情がありそうなので飴を売ってあげた。翌朝、汚れた羽織を洗って干しておいたところ、ある大店の主人が「あの羽織は?」と聞く。事情を話したら、お腹に子を宿しながら命を落とした娘の棺桶に入れてあげた羽織だと言う。驚いて、娘の墓を掘り返したら飴をしゃぶっている赤ちゃんがいた。土の運気で生まれた赤ん坊の為に、娘は死んでいながら六文銭(三途の川の渡し賃)で飴を与えたが、銭が無くなって最後に羽織をもって来たのだ。死してなおわが子を思う母の愛情の表れと今日まで語り継がれている。その飴を今でも売っている。なお、みなとや幽霊子育飴本舗の説明では、木の葉(樒しきみ)を代金代わりにした話となっている。なお、その赤ちゃんが成長し大きなお寺(立本寺)の高僧になったと言う。
昔は水飴にして箸に巻き付けて売っていたらしいが、現在は袋入りで昔ながらの素朴な味でアキが来ないものになっている。これで赤ん坊が育つとは思えないが、麦芽糖から作られた飴なので栄養は十分与えられるものだろう。このように京都には、不思議な話と共に現代に伝わる伝承やことわざが多くありる。
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