㉚ 乱と変
関ヶ原の乱 なのか 関ヶ原の変 なのか?
一般的には、時の政権や天皇・朝廷へ仕掛ける戦いは、「乱」であり、応仁の乱が典型的である。また、権力争いの中で陰謀や紛争により行われる戦いは、「変」と言い、承和の変や本能寺の変がある。似たものに、「事変」や「合戦」・「役」または「陣」とも言う。いずれも戦争のことだが、戦いの規模と期間によって使い分けている気がする。いずれも明確な定義はない。上海事変は日中戦争でも良いはずだし、治承・寿永の乱は源平合戦の方が分かりやすい。戊辰戦争や西南戦争は内戦なので「役」と言うべきだ。従って、後者は西南の役とも言う。陣は、大坂夏の陣・冬の陣の例くらいか。「陣」とは戦いに備える為に築いた大規模な砦の事なので戦争を意味しない。圧倒的な数の徳川勢が大阪城に砦を築いた時点で勝負は決まったので、「陣」というのだろう。
よく議論になるのが、承久の変。後鳥羽上皇が北条政権の鎌倉幕府転覆をめざした戦いだ。政権上位者の朝廷が、配下である武家政権に反乱した訳だが、権力の頂点に立つ治天の君が、形式上自ら任命した幕府に仕掛ける戦いを反乱と言って良いのか。従って、最近は承久の乱と言っている。筆者は、承久の征伐でも良いのではないかと思う。
世界では、紛争と戦争がいまだおさまらない。ウクライナは戦争だ。クリミヤ半島の争奪に留まっていれば紛争と言うのだろうが、今や残念ながら国家間の戦争である。お互いに無人兵器を飛ばし合って相手のインフラ設備を破壊しあっている。いずれ空中で無人機がやり合うことになれば、死者の出ないゲームになるかも知れない。誰かが言っていた。それならばプーチンとゼレンスキーがテレビゲームで対戦し勝った方が領土を取るというのはどうかと。
無人兵器の行きつく先にはどんな世界が待っているのか。
残念だが、もはや、「NATOの陣」とも言える現状である。