第25番 太田神社
京都市北区上賀茂本山340
御祭神 天鈿女命(あめのうずめのみこと)
創建は不詳だが、上賀茂神社の摂社であるものの、その鴨神社よりも歴史は古い。御祭神の天鈿女命は天照大神が天の岩戸に隠れた時に、御前にて裸踊りをした神である。ストリップ界の歴史上最古?と言われる神である。従って、芸能上達や長寿を願う神社となっている。
堀河通りのドン付き加茂川を御園橋で渡り、近年改装され綺麗なロータリーとなっている上賀茂神社前を通り、伝統的建造物群保存地区である明神川沿いを通り太田神社に向かう。鳥居をくぐり砂利道の参道を行く。緩やかな上り坂の奥には、一間社流造の本殿と、拝殿は「割拝殿」(わりはいでん:中央が吹き抜けて通れる拝殿)という古い形式となっている。
境内にある摂末社を以下に書き出す、
白鬚社 - 祭神:猿田彦命(さるたひこのみこと)
百大夫社 - 祭神:船玉神(ふなたまのかみ)
鎮守社 - 祭神:大国主神(おおくにぬしのかみ)、少彦名神(すくなひこなのかみ)
福徳社 - 祭神:福徳神
さて、こちらの見どころは、「大田ノ沢のカキツバタ群落」(国の天然記念物)で、5月上旬から中旬にかけての開花時に、沢(池)一面に濃淡さまざまな紫色の花をつける。「いずれアヤメかカキツバタ」と選択の難しい例えや美しい女性たちの誉め言葉に使うくらい、アヤメとカキツバタは区別がつかない。アヤメ(菖蒲)には花びらに網目模様がある。カキツバタ(燕子花・杜若)は染料に使ったことから「書付花(かきつけ花)」とも言った。
菖蒲(しょうぶ)とも違う。大田ノ沢はカキツバタ群落とともに、昭和14年(1939年)に国の天然記念物に指定された。『千載和歌集』の編者で著名な藤原俊成が、
神山(こうやま)や 大田の沢の かきつばた ふかきたのみは 色にみゆらむ
と、詠んでいる。歌の大意:「神山(賀茂別雷命の降臨地)の近くにある大田神社のかきつばたに、深くお願いする色事は、かきつばたの色のように一途で美しく可憐なのだろうか。」
裏山は、散策できるように案内板や安全ロープが設置されているようだが、今回は神社のみお参りする。帰り社務所で「由緒書」のみいただき、心づけ100円だけ置こうとすれば「結構ですよ。」と、お嬢さんが言う。上品な印象が良い。近所の若奥さんと世間話に花が咲いている。どちらもきれいな京都弁。いずれアヤメかカキツバタであった。立てば芍薬(しゃくやく)座れば牡丹(ぼたん)歩く姿が菊の花。も思い浮かんだ。
近くには、北大路魯山人の邸宅もある。当然、明神川沿いは歩いて散策して帰るようにしたい。気分は一気に時代は平安京の時代に戻る。
※伝統的建造物群保存地区
「上賀茂神社を中心に、神官(社司と氏人)と農民によって門前集落が形成され、室町時代から神官の屋敷町として発展してきた。神社の境内から流れ出る明神川に沿って、「豕扠首(いのこさす)」という独特の妻飾りを持つ社家(神官の屋敷)が建ち並び、土橋、土塀、門、前庭の樹木と一体となって、社家町の歴史的景観を今に伝えている。」
京都観光「Navi」より