『父親たちの星条旗』

2006-11-22 21:21:03 | cinema
水曜日なので映画にゆく。
川崎のチネチッタで『父親たちの星条旗』を観る。

先日試写会を観た『硫黄島からの手紙』の、アメリカからの視点で描かれた映画。


硫黄島の戦いがあらかたアメリカ勝利で終わろうとしているときに、アメリカ軍によって摺鉢山の頂上に星条旗が掲げられた。ジョー・ローゼンタールというカメラマンによるそのときの写真はピュリッツァー賞を受賞し、写真に写っていた六人(生還したのは三人)は一躍ヒーローになった。
しかし、その写真に写っていた星条旗は実は二番目のもの。真実を知っている三人はそれぞれ苦悩を抱えながら戦後を生きることになる。

映画は衛生兵だったドクの息子が著わしたドキュメンタリーを下敷きにしている。戦争について一切語らなかった父親の足跡を辿りつつ、現在と当時と戦後が交互に描かれる。

写真の星条旗が二番目のものだったということは、それほど重要な問題ではないように思う。一番目の旗を掲げたひとたちも、そのことによって戦争の「英雄」になどなってはいけないのだ。
しかし、アメリカでさえ、当時の国威掲揚のためにはこのような「象徴」としての「英雄」が必要だったのだろう。

四方田犬彦さんからこの映画の話を聞いたとき、写真に写っていた六人というのが、ネイティブアメリカンあり移民ありというように、まさにアメリカの縮図のような人種構成だった、というようなことをおっしゃっていた。実際ピマ族であるアイラは、ヒーローになったあとでも様々な差別を経験することになる。

戦闘シーンはあいかわらずリアルで、アメリカも日本も、たくさんの犠牲者を出したことがなんとも痛ましい。

どちらか一方を観ただけでも十分そう思うとは思うけれど、両方観ると本当に戦争なんてあってはならないと思いますね。たくさんの人があっけなく殺され、生き残ったひとたちにも大きな傷が残る。どこにもいいことなんてない。



本当は『トンマッコルへようこそ』と二本立てで見ようかとも思ったのだけれど、戦争もの二本はきついだろうとやめておきました。


明日の準備と、締め切りの原稿をなんとか仕上げる。

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