♪ I Iove the looks of you, The lure of you, The sweet of you, The pure of you…君の表情、魅力、愛らしさ、純粋さが好きだ、という歌詞は「All of You」のコーラスだ。タイトルの「you」にちなんで脚韻を踏んでいる。わかりやすい歌詞の典型的なラヴソングだが、意外にも詞を書いたのはコール・ポーターで、皮肉屋として知られるポーターには珍しく素直でストレートな歌詞だ。
作曲したのは勿論ポーターで、一度聴いたら忘れないほど印象的なメロディを持っている。歌詞は続く...The eyes, the arms, the mouth of you…目も腕も口も好きだ。と、ここまでは恋人を褒める常套句としても次の詞はユニークだ。The east, west, north and the south of you…東西南北から見た君が好きだ。どこから見ても文句の付けようのない恋人ということか。情熱的というより、少しクールな目で女性を見ていたポーターらしさのある歌詞だ。シンガーなら一度は歌う曲で、ヴァージョンは数知れずだが、ポイントはこの何度も出てくる「you」にあるだろう。
アニー・ロスはこの曲がお気に入りのようで、58年録音の「Sings A Song With Mulligan」でも取り上げていたが、63年の「Sings a Handful of Songs」は、ヴァースから丁寧に歌っている。ランバート、ヘンドリックス&ロスを脱退した直後、生まれ故郷のイギリスで録音したものだ。プロデュースは映画007シリーズで有名なジョン・バリーで、英国紳士らしくきっちりとスマートにまとめている。オーケストラをバックにしたロスは気持ちよさそうに歌っていて、肝心の部分も「You」、「yOu」、「yoU」と微妙に変化を付けるあたりはさすがだ。
ポーターは同性愛者だったが、パリで知り合った離婚歴のあるリンダ・トーマスと結婚している。今は同性婚も認められている国もあるが、当時はタブーとされていたそのことをリンダに嫌われる覚悟で告白したら素直に受けとめたという。ポーターが曲だけでなく、愛の詞を書いたのは良き理解者であるリンダに捧げたものかもしれない。
作曲したのは勿論ポーターで、一度聴いたら忘れないほど印象的なメロディを持っている。歌詞は続く...The eyes, the arms, the mouth of you…目も腕も口も好きだ。と、ここまでは恋人を褒める常套句としても次の詞はユニークだ。The east, west, north and the south of you…東西南北から見た君が好きだ。どこから見ても文句の付けようのない恋人ということか。情熱的というより、少しクールな目で女性を見ていたポーターらしさのある歌詞だ。シンガーなら一度は歌う曲で、ヴァージョンは数知れずだが、ポイントはこの何度も出てくる「you」にあるだろう。
アニー・ロスはこの曲がお気に入りのようで、58年録音の「Sings A Song With Mulligan」でも取り上げていたが、63年の「Sings a Handful of Songs」は、ヴァースから丁寧に歌っている。ランバート、ヘンドリックス&ロスを脱退した直後、生まれ故郷のイギリスで録音したものだ。プロデュースは映画007シリーズで有名なジョン・バリーで、英国紳士らしくきっちりとスマートにまとめている。オーケストラをバックにしたロスは気持ちよさそうに歌っていて、肝心の部分も「You」、「yOu」、「yoU」と微妙に変化を付けるあたりはさすがだ。
ポーターは同性愛者だったが、パリで知り合った離婚歴のあるリンダ・トーマスと結婚している。今は同性婚も認められている国もあるが、当時はタブーとされていたそのことをリンダに嫌われる覚悟で告白したら素直に受けとめたという。ポーターが曲だけでなく、愛の詞を書いたのは良き理解者であるリンダに捧げたものかもしれない。
「オール・オブ・ユー」は、「ニノチカ」をミュージカル化した「シルク・ストッキング」に使われた曲です。発表は1954年ですので、スタンダードとしては比較的新しいほうですが、多くのカヴァーがあります。今週はヴォーカルでお気に入りをお寄せください。インストは機を改めて話題にします。
管理人 All Of You Vocal Best 3
Helen Merrill / The Nearness of You (EmArcy)
Annie Ross / Sings a Song with Mulligan! (World Pacific)
Betty Blake / Sings In a Tender Mood (Bethlehem)
他にもビリー・ホリデイをはじめエラ、サラ、アニタという大御所、ケイ・スター、キャシー・バー等々、多くのシンガーが録音しております。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Fred Astaire - All Of You - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=4DvOjz_l-30
先週のディズニー映画は、全く歯が立ちませんでした。今週は僕向きで嬉しいです。面白い歌詞の「All of You」ですが、器楽奏者にも好まれて、手元にも多くのヴァージョンがありました。ヴォーカルものも多いのですが、器楽奏者に好まれているのはアドリブのしがいがある曲なのでしょうか。
①Anita O'day Swings Cole Porter (Verve)
②Annie Ross / Sings a Song with Mulligan! (World Pacific)
③Helen Merrill / The Nearness of You (EmArcy)
①は、あまり喧伝されませんが、アルバムとしてもいい部類だろうと思います。②と③はデュークさんと同じで、す。男性歌手のバディ・グレコ、ロバート・グーレなんていうのもありました。
この曲はマイルスをはじめエヴァンス、MJQの名演がありますので、アドリブが面白いのでしょう。そんな器楽的な展開のアニタがトップにきましたか。ビリー・メイとのブランコ・ジャケからは寛いだ印象を受けますが、お互い攻めておりますね。アニタの真骨頂と思いますが、短いのが残念です。
そして、アニー・ロスのマリガン盤と私がトップに挙げたメリルが並びましたね。それぞれバックも唱法もテンポも違いますが、持ち味を十分に堪能できます。先日、デイ・バイ・デイでこの曲が話題になりましたが、歌うのも演奏するのも難しいそうです。
男性陣ではバディ・グレコとロバート・グーレが取り上げておりますね。ポピュラーシンガーにも人気がある曲です。
イチオシは、これですね
「Easy Living / Ann Hampton Callaway」
声質、唱法、フィーリング全てが
我がど真ん中ストライク!
ぞっこん惚れ込んでます。
モーガナ・キングにちょっと似た歌いっぷりですが、
モーガナほどストイックになってないところが、いい。
彼女、FB friend でもあるのですが、
未だ来日経験がなく、本人も来日公演を
強く希望なさっております。
三具氏に相談したところ、
「日本での知名度がいまひとつなので、
スポンサーを見つけてこないと厳しいのでは?」
とのことでした。
来日していないんですか?
実力あるのにね。
そういえば、彼女のアルバムは
妹のLiz Callaway とのデュオも含めると
10枚ほど持ってるのですが、全て輸入盤です。
キャラウェイのこのアルバムは持っておりませんので、サンプルですが試聴しました。声質は私も以前から気に入っておりましたが、この曲はテンポがいい感じですね。おっしゃるようにモーガナ・キングに似た感じがします。このアルバムに収録されている「The Very Thought of You」はグッときますね。
キャラウェイは年齢的にもキャリアは十分ですが、日本では国内盤が出ないこともあり知名度は今一です。早い時期から売り出せばTAKASHI さんがおっしゃるように実力がありますので人気も出たでしょう。
1.Annie Ross - Sings a Song with Mulligan! (World Pacific)
2.Anita O'Day - Swings Cole Porter with Billy May (Verve)
3.Cheryl Bentyne - Let's Misbehave The Cole Porter SongBook (Summit Records)
ワンツーと名盤が並んだところで、シェリル・ベンティーンのポーター作品集が挙がりましたか。このアルバムは以前、ビギン・ザ・ビギンを話題にしたときに取り上げましたが、最近のポーター集ではずば抜けておりますね。それぞれ趣向を凝らしておりますので、聴きなれた曲も新鮮です。この曲はマイルスのソロを入れるあたりさすがです。
「All of Me」は有名曲でありながらヴォーカル、インストともまだ取り上げておりませので、機会を見て話題にしましょう。
All Of You Vocal Best 3
Annie Ross / Sings a Song with Mulligan! (World Pacific)
Anita O'Day / Swings Cole Porter (Verve)
Helen Merrill / The Nearness of You (EmArcy)
ワンツー、そして3枚目も定番が並びました。ともに甲乙付けがたい素晴らしい歌唱を楽しめます。他にもベティ・ブレイク、アン・ハンプトン・キャラウェイ、シェリル・ベンティーンが挙がりました。それぞれ個性あふれるオール・オブ・ユーです。今宵はお気に入りのシンガーと♪ I Iove the looks of you…を口ずさんでみましょう。