「マイルスが吹くために作られたような曲だ」とか、「エヴァンスのこれを聴いたあとではどんな演奏もかすむ」とか、「この曲にはビリーの魂が宿っている」と表現されることがある。いわゆる決定的名演や絶対的名唱をさす最上句で、これからその曲をレパートリーにしようとするプレイヤーにとって最良の手本でもある。名演や名唱は曲の解釈と感情の移入は勿論のこと、ある程度の緊張とほど良いリラックスがなければ生まれない。
ブルー・ミッチェルの「Blue's Moods」を例に挙げると、初のワンホーン作品になることからくる緊張である。初リーダー作「Big6」、続く「Out of the Blue 」、「Blue Soul」の3枚は1曲だけワンホーンもあるが、2管或いは3管編成だった。第4作目にしてフロントに一人で立つとなれば力が入る。複数の管が入ると、たとえアンサンブルでミスをしても目立たないが、トランペット1本となると話は別だ。微妙なビブラートも誤魔化しがきかない。60年録音時、ミッチェルは去る6月18日に85歳で亡くなったホレス・シルヴァーのバンドメンバーだったことからかなりの場数を踏んでいるとはいえ、この録音はプレッシャーがかかっただろう。
その緊張を解きほぐしたのは旧知のサイドメンである。ピアノは初リーダー作から付き合いのあるウイントン・ケリーで、この時代最もご機嫌なピアノといっていい。ベースはキャノンボール・アダレイのバンドで活躍中のサム・ジョーンズで、ベースを弾くというより鳴らすという表現が相応しいビッグトーンだ。ドラムはシルヴァーのバンドで仲の良いロイ・ブルックス。そして、一番はリラックスして録音に臨めるようメンバーを手配し、逸るミッチェルにタバコの火を付けたリバーサイドのプロデューサーであるオリン・キープニュースだ。リバーサイドというレーベルがジャズの名門である理由はここにあるような気がする。
そんなベストといえる環境で録音したのだから当然、名演が生まれる。それも決定的名演だ。イギリスの作曲家ビリー・リードが作った「I'll Close My Eyes」で、淡々とメロディを紡ぐミッチェルにさりげなくコロコロとアクセントを付けるケリー、要所要所を締めるジョーンズ、小気味良いリズムをたたき出すブルックス、ワンホーンの傑作である。この録音から半世紀以上経つがこれを超えるこの曲に出会ったことがない。
ブルー・ミッチェルの「Blue's Moods」を例に挙げると、初のワンホーン作品になることからくる緊張である。初リーダー作「Big6」、続く「Out of the Blue 」、「Blue Soul」の3枚は1曲だけワンホーンもあるが、2管或いは3管編成だった。第4作目にしてフロントに一人で立つとなれば力が入る。複数の管が入ると、たとえアンサンブルでミスをしても目立たないが、トランペット1本となると話は別だ。微妙なビブラートも誤魔化しがきかない。60年録音時、ミッチェルは去る6月18日に85歳で亡くなったホレス・シルヴァーのバンドメンバーだったことからかなりの場数を踏んでいるとはいえ、この録音はプレッシャーがかかっただろう。
その緊張を解きほぐしたのは旧知のサイドメンである。ピアノは初リーダー作から付き合いのあるウイントン・ケリーで、この時代最もご機嫌なピアノといっていい。ベースはキャノンボール・アダレイのバンドで活躍中のサム・ジョーンズで、ベースを弾くというより鳴らすという表現が相応しいビッグトーンだ。ドラムはシルヴァーのバンドで仲の良いロイ・ブルックス。そして、一番はリラックスして録音に臨めるようメンバーを手配し、逸るミッチェルにタバコの火を付けたリバーサイドのプロデューサーであるオリン・キープニュースだ。リバーサイドというレーベルがジャズの名門である理由はここにあるような気がする。
そんなベストといえる環境で録音したのだから当然、名演が生まれる。それも決定的名演だ。イギリスの作曲家ビリー・リードが作った「I'll Close My Eyes」で、淡々とメロディを紡ぐミッチェルにさりげなくコロコロとアクセントを付けるケリー、要所要所を締めるジョーンズ、小気味良いリズムをたたき出すブルックス、ワンホーンの傑作である。この録音から半世紀以上経つがこれを超えるこの曲に出会ったことがない。
「アイル・クローズ・マイ・アイズ」は、多くのヴォーカル・ヴァージョンがありますが、元はインスト・ナンバーとして1945年にイギリスの作曲家ビリー・リードが作った曲です。あまりに美しいメロディに魅せられたバディ・ケイがアメリカで紹介されたときに歌詞を付けました。今週はこの曲のお気に入りをインストでお寄せください。ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 I'll Close My Eyes Best 3
Blue Mitchell / Blue's Moods (Riverside)
Jimmy Smith / Organ Grinder Swing (Verve)
Vladimir Shafranov / I'll Close My Eyes (Atelier Sawano)
他にもディジー・リース(奇しくもピアノはケリー)をはじめケン・マッキンタイヤー、ローランド・ハナ、山中千尋等々、多くの名演があります。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Miyuki Yoshino 吉野ミユキ I'll close my eyes
https://www.youtube.com/watch?v=ja5sWa8GcJk
熱演です
ブルー・ミッチェルの演奏はテンポがよく、僕は、ミッチェルに合わせてテーマを口ずさんだりします。ただ、ミッチェルのものがダントツなので、彼以外のヴァージョンがすぐに浮かんでこないきらいがあります。手持ちの中からですが、
①Blue Mitchell / Blue's Moods (Riverside)
②Dusko Goykovich / Soul Connection (Enja)
③Seldon Powell / The Seldon Powell Sextet (Roost)
①は、ミッチェルはもちろんケリーのプレイも気に入っています。②は、ダスコのミュートプレイが味があるし、フラナガン(p)のイントロやソロもメロディアスでよく、挙げました。③は、バラード扱いで、ほとんどテーマの吹奏といってもいいのですが、パウエルのトーンに魅力があります。
他にも、ディジー・リース、ジョー・アレキサンダー、スコット・ハミルトン「Tight But Loose」(Organic Music)といったところがありました。D・リースものもは、リーダーのプレイがいいとはいえないですね。キース・ジャレットのライブ盤もきいてみましたが、この曲に関しては、ピンときませんでした。シャフラノフ良さそうですね。聴いてみたいです。
訂正してください。
訛っています。暑さでやられているのかもしれません(笑)。
この曲はやはりミッチェルのテンポがいいですね。他のヴァージョンも多少の速い、ゆったりはありますが、曲調からいってもミッチェルがベストといえます。
トップは決定として、次にダスコがきましたか。トランぺッターがこの曲を演奏するとどうしても二番煎じの感を拭えませんが、このアルバムはメンバーもよく、ダスコも歌っております。
そして、パウエルもありましたね。こちらも名手が脇を支えておりますので、パウエルも伸び伸びしております。
ジョー・アレキサンダーは「Blue Jubilee」ですね。 ティモンズがご機嫌です。
シャフラノフはウォッカのジャケットが人気ですが、こちらもいい内容です。お薦めです。
この曲は大好きな曲・・・・・というか演奏です.
その昔ジャズ屋でアルバイトしていた頃、お昼の開店の1曲目は必ずかけていた思い出の曲です.
とても爽やかで、元気が出る曲です.
1.Blue Mitchell / Blue's Moods (Riverside)
この曲に関してはこの演奏がボクのすべてと言っても過言じゃないでしょうね.
そのくらい素敵な演奏だと思います.
次点として (他の演奏がこれしかなかったので)
Star Bright / Dazzy Reece (Blue Note)
同じラッパです、こちらもテーマ部分はとても爽やかです.
今夜も札幌ドームでした。ここ数日、野球観戦とジャズを聴く以外、何もしていないような気がします。(笑)
開店の1曲目はこれでしたか。タイトルと曲調からいうとクロージングですが、静かな幕開けといったところでしょうか。ミッチェルのこれはどちらでもグッときますね。私もサラ回しの経験がありますが、ミッチェルではこれを一番かけました。プレイヤーが曲を選ぶのか、曲がプレイヤーを呼ぶのか、これ以上の表現は出来ないでしょう。ベスト・メンバーによる最高傑作と言っても過言ではありません。
ディジー・リースもピアノはケリーですね。ミッチェルと比べると霞みますが、なかなかの好演です。
I'll Close My Eyes Best 3
Blue Mitchell / Blue's Moods (Riverside)
Jimmy Smith / Organ Grinder Swing (Verve)
Dusko Goykovich / Soul Connection (Enja)
本日午後から不在のため、早めの〆になりましたが、決定的名演ブルー・ミッチェルが一番人気でした。
他にもウラジミール・シャフラノフ、セルダン・パウエル、ディジー・リース等が挙がりました。それぞれ個性際立つバラード・プレイが聴きどころです。今宵はお気に入りのアイル・クローズ・マイ・アイズに瞳を閉じて浸ってみてはいかがでしょう。
日曜日のアップは遅くなりますが、必ず更新しますのでまたご覧いただければ幸いです。