毎週、拙稿をご覧いただいている方はお気付きと思われるが、ここ数週間話題にしたアルバムは共通点がある。録音はともに1959年と同じだが、ジャケットの上部を注意してご覧いただきたい。RCAの「Living Stereo」にはじまり、Mercuryの「Hi-Fi Stereo」、Rouletteは「Dynamic Stereo」、そしてVee Jayは音響工学用語の「Stereophonic」の文字がさりげなく、それでいて目立つように入っている。
「Audio Fidelity Records」がステレオ盤レコードを発売したのは1957年だった。最初のレコードは、A面が「Dukes of Dixieland」で、B面は列車の音とか。なるほどステレオ向きだ。以降、ほとんどのレコード会社がステレオで録音するようになる。再生機器もクオリティーの高い機種が出てきたのでソースとなるレコードも競争になり、ジャケットに他社とは違う謳い文句でステレオ録音を強調したのだろう。ただ、この時代の音は録音の技術やプレスの違いによってレーベルごとの差は大きい。因みにペリー・コモの記事で触れたが、群を抜いているのはRCAの「Living Stereo」とコロムビアの「Stereo-Fidelity」だ。
ボブ・シャッドが1959年に立ち上げたタイム・レコードは、「HIGH FIDELITY」と入れた。ソニー・クラークやブッカー・リトルで知られるマイナーレーベルだが、ヴォーカルも渋いところが揃っている。カーメン・マクレイのシュガー・ヒルに、「Fly Me To The Moon」を初めて歌ったフェリシア・サンダース、ブルーノート盤で知られるドド・グリーン、そしてジャッキー・パリスの「Sings The Lyrics Of Ira Gershwin」。作曲家の作品集は珍しくないが、これは作詞家のアイラ・ガーシュウィンにスポットを当てたものだ。「Long Ago And Far Away」に「My Ship」という大ヒット曲から「Girl Of The Moment」、「Sure Thing」という地味なものまで網羅している。アイラの詞を味わうなら絶好の作品といえよう。
このタイム盤にしても三大ジャズレーベルにしても初期のステレオは左右のバランスに違和感がある。最近は技術が向上し、一体化した心地良い音で楽しめるようになったが、ジャズ録音の魅力は小生の師である故オーディオ評論家岩崎千明氏の言葉を借りるなら「アタックの強さ」にある。モノラルに比べると迫力を欠く開発途上のステレオとはいえ、今のデジタル化された音では足元にも及ばない。
「Audio Fidelity Records」がステレオ盤レコードを発売したのは1957年だった。最初のレコードは、A面が「Dukes of Dixieland」で、B面は列車の音とか。なるほどステレオ向きだ。以降、ほとんどのレコード会社がステレオで録音するようになる。再生機器もクオリティーの高い機種が出てきたのでソースとなるレコードも競争になり、ジャケットに他社とは違う謳い文句でステレオ録音を強調したのだろう。ただ、この時代の音は録音の技術やプレスの違いによってレーベルごとの差は大きい。因みにペリー・コモの記事で触れたが、群を抜いているのはRCAの「Living Stereo」とコロムビアの「Stereo-Fidelity」だ。
ボブ・シャッドが1959年に立ち上げたタイム・レコードは、「HIGH FIDELITY」と入れた。ソニー・クラークやブッカー・リトルで知られるマイナーレーベルだが、ヴォーカルも渋いところが揃っている。カーメン・マクレイのシュガー・ヒルに、「Fly Me To The Moon」を初めて歌ったフェリシア・サンダース、ブルーノート盤で知られるドド・グリーン、そしてジャッキー・パリスの「Sings The Lyrics Of Ira Gershwin」。作曲家の作品集は珍しくないが、これは作詞家のアイラ・ガーシュウィンにスポットを当てたものだ。「Long Ago And Far Away」に「My Ship」という大ヒット曲から「Girl Of The Moment」、「Sure Thing」という地味なものまで網羅している。アイラの詞を味わうなら絶好の作品といえよう。
このタイム盤にしても三大ジャズレーベルにしても初期のステレオは左右のバランスに違和感がある。最近は技術が向上し、一体化した心地良い音で楽しめるようになったが、ジャズ録音の魅力は小生の師である故オーディオ評論家岩崎千明氏の言葉を借りるなら「アタックの強さ」にある。モノラルに比べると迫力を欠く開発途上のステレオとはいえ、今のデジタル化された音では足元にも及ばない。
「ロング・アゴー・アンド・ファー・アウェイ」は、1944年のミュージカル「Cover Girl」のためにアイラ・ガーシュウィンが作詞し、ジェローム・カーンが作曲したものです。アドリブの発展が面白いようでインストに名演が揃っておりますが、今週はこの曲のお気に入りをヴォーカルでお寄せください。尚、インストベストは2012年11月4日の拙稿「ライオンとヴァン・ゲルダーの点を線にしたギル・メレ」をご覧ください。
管理人 Long Ago And Far Away Vocal Best 3
Bev Kelly / In Person (Riverside)
Chet Baker / Sings & Plays (Pacific Jazz)
Rosemary Clooney / Sings The Lyrics Of Ira Gershwin (Concord Jazz)
他にもフランク・シナトラやジョニー・ハートマン、ジェーン・フィールディングも録音しております。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Long Ago...Maureen McGovern!
https://www.youtube.com/watch?v=_o6t_dH2smQ
映画「ポセイドン・アドベンチャー」や「タワーリングインフェルノ」のテーマ曲でお馴染みのモーリン・マクガヴァン
ジェローム・カーンと言えば、彼の半生記『雲流るるままに』(DVDの邦題表記ママ)が面白くて大好きなので、第一に思い浮かびました。
この映画の中では最後のメドレーでキャスリン・グレイソンがお題の曲を歌っていますが、もう少し聴きたいと思うくらい短いですね…
後はお決まりの…
Mel Torme / The Complete World Transcriptions ( Soundies )
とても丁寧でうっとりするような表現力です。
そして意表をついたアレンジの…
Lorez Alexandria / Singing Songs Everyone Knows ( King )
ゴージャスな演奏をバックに、さすがの歌唱力ですね。
「雲流るるままに」はDVDで観ました。内容はよく覚えておりませんが、ジェローム・カーンの偉大さが伝わってきます。
メル・トーメのこのアルバムは持っておりませんが、タイトルからみると戦時中の音源のようですね。若いころの声は格別でしょう。
ロレツ・アレキサンドリアがありましたね。初期のレコーディングですが、声は艶があります。スタンダードばかりですので馴染みやすいアルバムです。バックのメンバーの詳細はありませんが、一流どころを揃えた感じがします。
今週から忘年会が入り始めています。第二の職場なんだから、長い宴会は勘弁してほしいのですが、まあ我慢です(苦笑)。酔った頭に浮かぶのは、チェットです。
Chet Baker / Sings & Plays (Pacific Jazz)
Bev Kelly / In Person (Riverside)
Joni James / Sings Songs By Jerome Kern and Songs By Harry Warren (MGM)
チェットのものは、トランペットが入り純ヴォーカルではないですが、バラード扱いでなく飛ばしているのが気持ちよいです。そういう意味ではBev Kellyもジャジーです。三つめは、本来の遅いテンポのもので、乙女ジャケットのジョニ・ジェイムスを。
挙がっていないものでは、マーガレット・ホワイティングやペギー・キングのものがありました。
ワンツーは私と入れ違いの選出ですが、ポピュラーヴォーカルが多いなかジャジーなものといえばこの2枚です。チェットはアドリブのあと直ぐに歌に入って驚きますが、ここがジャズですね。そのあとのラス・フリーマンのソロも印象的です。べヴ・ケリーもジャズフィーリングたっぷりの出だしで頭から乗ります。
ジョニ・ジェイムスがありましたね。ジャケットで売ろうというレコードですが、選曲、内容ともまずまずです。
マーガレット・ホワイティングは古くからのレパートリーですので実に丁寧に歌っております。歌詞を味わうならこのテンポがベストでしょう。ペギー・キングはパーシー・フェイスがバックですね。ゴージャスです。
Long Ago And Far Away Vocal Best 3
Bev Kelly / In Person (Riverside)
Chet Baker / Sings & Plays (Pacific Jazz)
Lorez Alexandria / Singing Songs Everyone Knows (King)
ワンツーはどちらが上にきても異論のない名唱です。他にもローズマリー・クルーニーやメル・トーメ、ジョニ・ジェイムスが挙がりました。それぞれ個性あふれる歌唱です。今宵はお気に入りの「ロング・アゴー・アンド・ファー・アウェイ」をお楽しみください。