ある記憶

遥か遠くにいってしまった記憶たち

あのおちびちゃんは今いずこ

2008-03-06 22:58:08 | 
通勤の駅のターミナルで、H子に似た人を見た。
あれからだいぶ経っており、その当時の姿のままであるはずはない。当然だ。
けれどもあれからだいぶ経って、今ならそうなっているだろうと容易に想像できる、
そんな容姿をした人を見た気がする。
見間違いかも知れない。しかし、確かに面影があった。
後を追ってみようと瞬間思ったのだが、その人は雑踏の中に消え、僕は、
そのまま通勤電車のなかに、いつものように押し込まれ流し込まれた。
もう確かめる術は無い。その人も通勤にここを使うのなら、またすれ違う可能性はあるだろう。
しかし、どこかに勤めている風でもなく、たまたま何かの都合でその時間、ここを通過しただけかも知れない。
ならば、もう二度と巡り会うこともないだろう。
多分、見当違いだろう。最近、とみに視力が低下している。

仮にその時、その人に声をかけ、「H子さんではありませんか?」などと聞いたなら、
そこから何かが生まれるだろうか。
いや、別に何かが生まれることを期待している訳ではない。
何か懺悔にも似た、すまない気持ちとその後のH子の苦労をねぎらってあげたい。
たったそれだけの衝動に過ぎなかったろう。
僕の自己満足に過ぎない。例えその人がH子だったなら、今更僕に声をかけられて、
どう思うことだろうか。やめとこう。
そんな考えが、僕の行動を逡巡させた。

しかし、いずれにしても僕の見間違いの可能性が高いのだ。
H子のことを今更どうこう思うものでもないけれど、かつての部下であったH子を、
今でも心のどこかで心配しているのだろうか。
そんな潜在意識が、疲れて帰る途上の駅のターミナルで、そんな幻を僕に見せたのかも知れない。

元気で生きていてくれればいい。それだけでいい。

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