どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

アプレゲール

2019年10月06日 19時05分00秒 | 話題
英語で言えば「after war」、つまり戦後という意味です。

この言葉、第一次世界大戦後の時期に流行り初めて、大正デモクラシーから昭和恐慌を経て、自由な気風と享楽的な文化や世相が綯い交ぜとなり、エログロナンセンスな風俗を指した言葉だったらしい。

再び戦火を経て、第二次世界大戦後、流行は復活し、無軌道で不可解な犯罪をも含め、どちらかというと否定的な言葉に...。

家の母も中高生あたりの時期に親世代の大人から盛んに「アプレだ」と言われたそうです...まぁ反抗期の時期でもあるので、親に口答えしたりすると、そんな風に反撃されたんでしょう(^_^;

私の世代ではとっくに死語になっていましたので、この言葉を知ったのは恐らく黒澤明監督作「野良犬」だったと思います。

いわゆる犯罪サスペンスで、ベテランと新人の刑事が組むバディものの元祖的な作品として有名ですが、その二人{志村喬と三船敏郎}がアプレゲールについて語っているのです。


作中で詳しくは語られていませんが、村上(三船)は苛烈な戦場を生き延びて復員してきた人物。


異常ともいえる辛い体験を語りますが...。




佐藤(志村)は物語の犯人・遊佐をも含めてバッサリとクールに村上と一括りにしてしまいます。

同情も慰めもない冷たいこの感覚、以前はちょっと理解しがたいものがあったのですが、復員兵って丸で犯罪者予備群あつかいされていたみたいなんですよね。

特攻隊の生き残りみたいな人も最たるものだったらしく、アプレという言葉は使ってないものの、小津安二郎監督作「宗方姉妹」でも同じ視線を感じるシーンがあります。妹(高峰秀子)が姉(田中絹代)の考え方や行動を指して古い古い!と揶揄したことに対して、反論するのですが...。

姉のいう前島とは、彼女がママを努めているバーの従業員。



凄まじいほど冷めています。前島って作中では真面目に働くバーテンにしか見えないけど、時代のバックグラウンドとして、どこか許せない気持ちがあるんでしょうね...このあたりの心理は当時の人でないと実感できないと思います。


母もおそらくこの妹や、サザエさんの漫画でアプレぶりを発揮するカツオやワカメみたいな感じだったんだろうなと(^_^;

旧世代(当時は対義語としてアバンゲールとも)から見れば「呆れかえる」っとことでね(^_^;

そう言えば私が二十歳前後だったころ、若い世代を一括りに「新人類」とか言われていましたねぇ...。その頃の中高年だった「団塊」世代の人たちに言われていたような気がします。

まぁ...いつの時代においても若い奴らの考えていることは理解できね〜!ってことなんでしょう(笑)




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