スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

Caminero という姓

2018-01-05 15:15:22 | 名前
 読売ジャイアンツのカミネロ選手はドミニカ共和国の出身である。
 
 Caminero は普通名詞 camino(道)に由来するが、女房殿はコスタリカでは聞いたことがない姓だと言っていた。
 caminero は形容詞としては「道の、道路の」という意味で、peón caminero で「道路工夫」という意味になる。名詞としては「道路建設業者」という意味になる。
 カミネロ選手の個人名は Arquímedes Euclides(「アルキメデス・ユークリッド」の意味なので、釣り合いをとるためにも姓の Caminero は「道路工夫」ではなく、「道路建設業者」の方がふさわしいだろう。
 
 【ゲレーロ(Guerrero)選手】
 ところで、guerrero (戦士)もそうだが、語尾が -ero で終わる姓もスペイン語には多く見られる。-ero は小学館の『西和中辞典』によると、次のように説明されている。

 《接尾》名詞語尾。「道具、容器、場所」の意。植物名につくと「…の木」の意。動詞から派生した場合は -dero 。
 
 もう一つ、“-ero,ra”という見出しがあり、こちらの説明は以下のとおり。

 《接尾》1 形容詞語尾 habanero, sincero  2 「人の職業」を表す名詞語尾  cartero, zapatero

 habanero は英語読みすると「ハバネロ」だが、スペイン語では「アバネロ」と発音する。キューバの首都ハバナ(La Habana)に由来する形容詞で、本来は「ハバナの」という意味だが、激辛の「ハバネロ」の意味で有名である。
 sincero の英語形は sincere なので、説明は省く。
 cartero は「郵便配達人」で、carta 「手紙」から来ている。zapatero は「靴職人・靴屋」で、zapato 「靴」から来ている。
 ところで、スペイン語の接尾辞 -ero は形の上では英語の接尾辞 -er に似ている。
 英語の例をいくつか挙げる。singer, dancer, player, teacher, runner, walker, drummer などなど。
 これらの例は「動詞+-er」で、「~する人」の意味になっている。念のために研究社の『英和中辞典』を調べてみた。1から3まであるが、そのうちの1を以下に記す。

 -er 《接尾》1 動詞と名詞から動作者名詞を造る:a 「…するもの」の意 b 「(ある)土地の人、…居住者」の意 c 「…に従事する人;…製作者;…商;…研究者;…学者」の意
 
 スペイン語に戻るが、guerrero も caminero も「人の職業」を表しているが、basura (ごみ)から派生した basurero は「ごみ収集人」ではなく、「ごみ箱」で、「容器」である。
 英語でもスペイン語でも職業名が姓になることは珍しくはない。英語の方は Farmer, Carpenter, Walker などはありふれている。ゴルフの Gary Player やテニスの Teacher さんなども有名である。日本のプロ野球には Messenger もいる。スペイン語のほうも Caminero や Guerrero の他にもいろいろとあるはずである。
 次回はソフトバンク・ホークスの「モイネロ」選手にご登場願う予定である。    


よろしくね
↓↓↓

スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。


 
 

     

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 読売ジャイアンツのカミネロ... | トップ | 日本プロ野球のキューバ人選... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

名前」カテゴリの最新記事