スパニッシュ・オデッセイ

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ミノタウロス(Minotauro)、件(くだん)、ケンタウロス(Centauro)

2018-03-18 18:27:49 | トリビア
 前回、ひょんなことで“Cabeza de Vaca”(雌牛の頭)という姓にめぐりあい、そこから「牛頭天王」に話が及んだ。
 今回は、ついでに「ミノタウロス」(西 Minotauro)にもご登場願う。
 
 【ミノタウロスと戦うテーセウス。ウィキペディア「ミーノータウロス」より】
 詳しい話はウィキペディア「ミーノータウロス」をご覧いただくとするが、ミノタウロスとは牛面人身の怪物である。スペイン語の Minotauro は Mino + tauro に分解できるが、Mino はミノス王、Tauro は雄牛である。Tauro は「おうし座」の意味であることは、以前に述べた。現代のスペイン語では「雄牛」は toro である。
 Cabeza de Vaca という姓の由来はウィキペディア「アルバル・ヌニェス・カベサ・デ・バカ」に詳しいが、その中の一節を引用する。

 この姓名は13世紀に、彼の祖先が牛の頭を残して、山脈を通り抜ける秘密の道を示すことで、ムーア人を攻撃するキリスト教徒の軍を助けたことにより、彼の家族に与えられたものである。

 Cabeza de Vaca という姓が授けられる経緯はミノタウロスとは関係がなさそうであるが、ひょっとしたら、名付け親にミノタウロスの話が念頭にあったかもしれない。ただ、ミノタウロスの方は Toro(雄牛)、Cabeza de Vaca の方は vaca (雌牛)という違いはあるが。
 さて、日本には「牛頭天王」という神様がいることは前回述べたが、「件(くだん)」という人面牛身の妖怪もいる。
 
 【倉橋山の件を描いた天保7年の瓦版。ウィキペディア「件」より】
 この妖怪は歴史が新しく、19世紀前半ごろから知られるようになったとのこと。詳しくはウィキペディア「件(くだん)」を参照されたい。この妖怪の存在は内田百閒の作品によって知った。
 ところで、ミノタウロスによく似た名前の怪物に「ケンタウロス」(西 centauro)がいる(Minotauro は固有名詞なので語頭は大文字。centauro は固有名詞ではない。多数存在するので、小文字で始める)。
 
 【パラスとケンタウロス〜ボッティチェリ。“Diario de Giovanni”より】
 ご覧のように、タウロ(tauro = toro)とはいいつつ、体は牛ではなく馬である。馬なら caballo(オス)か yegua (メス)のラテン語形が tauro の代わりについていなければならない。
 以前から疑問に思っていたので、この際調べてみることにした。
 ウィキペディア「ケンタウロス」の記述を引用する。

 ケンタウロスという名前の語源は「牛殺し」だという説がある(「刺し貫く牡牛」だとする意見もある)。また、ケンタウロスは「牡牛を駆け集める者」の意であり、テッサリアに住んでいた原始の牧夫の集団がモデルではないかという説がある。

 「牡牛」を駆け集める牧夫の集団が「馬」に乗っていたことから、「ケンタウロス」という名前ができたのだろう。
  

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