日本では電話メッセージを残すとき、大体最後にシャープ記号を押すが、スペイン語ではシャープ記号のことを numeral (数の、数詞)というらしい。小学館『西和中辞典』(1990年)には numeral という語に「シャープ記号」という訳語は載っていない。
ところで、電話機の記号 # は、実は音楽のシャープ記号ではない。電話機で使われているのは、番号記号である。以下にウィキペディア「番号記号」より引用する。
番号記号(ばんごうきごう)は、「井桁」(いげた)や「スクエア」とも呼ばれ、番号を示す数字の前に置かれる記号である。14世紀頃、古代ローマで重さの記号として使われていた lb に横棒を引いたものが、手書きのためだんだんと崩れて今の形になったと言われている。
日本ではこの記号の代わりにヌメロ (numero, No.) を使って「ナンバー」と読むのが一般的である。
そういえば、アメリカのヒットチャートでは第1位は # 1 と書くのが一般的ではなかろうか。
ちなみに古代ローマで重さの記号として使われていた lb とは libra のことだろう。現代のスペイン語でも libra には「古い重さの単位」という意味もあるが、「(重さの単位の)ポンド、約454グラム」や「(イギリスの通貨単位)のポンド」という意味にもなっている。イギリスの通貨単位のポンドを表す記号£がLの字に似ているのもこれで納得がいく。
Libra と大文字で始めると「天秤座」という意味になる。
この lb が崩れて、# の形になったということであるから、£と#は親戚ということになる。
さて、# は英語では number sign や hash とも呼ばれるが、スペイン語では numeral(英語も同形)なのである。
留守電録音メッセージを残すときに、numeral ではなく、シャープ記号といってくれればすぐわかるのだが、欧米では通用しないようだ。また、シャープ記号は # ではなく、♯ である。横線が斜めになっている。
シャープは英語 sharp からだが、スペイン語では diesi(仏 dièse、伊 diesis)という。音楽でもやっていないと、こんな言葉はわからない。diesiという言葉を聞くと、そのあとに seis (6), siete (7), ocho (8), nueve (9) が来るものと思ってしまう。ラテンアメリカでは diesi は dieci = diez y(「10と」の意)と発音が同じになる。
「半音上がっている」という意味の sostenido という言葉もあるが、これは 動詞 sostener(英 sustain 支える)の過去分詞形である。ただし、sostener という原形だと、「半音上げる」という訳語は見当たらない。常に過去分詞形で使われるのだろうか。
ともかく、sostenido が「シャープ、半音高い」の意味だとは専門に音楽をやっていないとわからない。
sostener の2人称単数の命令形は sostén になる。「下から支えろ」という意味だが、「支え」、「支柱」、「大黒柱」、「食糧」という意味にもなる。さらに、女性の胸を下から支えるもの、つまり「ブラジャー」という意味もある。ただし、最近はこんな言い方は聞かない。コスタリカでは英語 brassiere (元はフランス語)が一般的に使われているようだが、読み方はスペイン語読みになっている。sujetador(スヘタドール)という語もあるようだが、コスタリカでは聞いたことがない。
ついでに、フラット記号(♭)についても記しておく。フラットは英語 flat からだが、イタリア語ではベモーレ(bemolle)、フランス語ではベモル(bémol)、ドイツ語ではベー(b, Be)と呼ばれるとのこと(ウィキペディア「フラット(記号)」。スペイン語では bemol という。英語以外の「フラット」を表す主要なヨーロッパの言語では be- で始まっている。だから、記号は b に近い ♭なのだろう。
ちなみに、「半音下げる」はスペイン語では bemolar という。
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ところで、電話機の記号 # は、実は音楽のシャープ記号ではない。電話機で使われているのは、番号記号である。以下にウィキペディア「番号記号」より引用する。
番号記号(ばんごうきごう)は、「井桁」(いげた)や「スクエア」とも呼ばれ、番号を示す数字の前に置かれる記号である。14世紀頃、古代ローマで重さの記号として使われていた lb に横棒を引いたものが、手書きのためだんだんと崩れて今の形になったと言われている。
日本ではこの記号の代わりにヌメロ (numero, No.) を使って「ナンバー」と読むのが一般的である。
そういえば、アメリカのヒットチャートでは第1位は # 1 と書くのが一般的ではなかろうか。
ちなみに古代ローマで重さの記号として使われていた lb とは libra のことだろう。現代のスペイン語でも libra には「古い重さの単位」という意味もあるが、「(重さの単位の)ポンド、約454グラム」や「(イギリスの通貨単位)のポンド」という意味にもなっている。イギリスの通貨単位のポンドを表す記号£がLの字に似ているのもこれで納得がいく。
Libra と大文字で始めると「天秤座」という意味になる。
この lb が崩れて、# の形になったということであるから、£と#は親戚ということになる。
さて、# は英語では number sign や hash とも呼ばれるが、スペイン語では numeral(英語も同形)なのである。
留守電録音メッセージを残すときに、numeral ではなく、シャープ記号といってくれればすぐわかるのだが、欧米では通用しないようだ。また、シャープ記号は # ではなく、♯ である。横線が斜めになっている。
シャープは英語 sharp からだが、スペイン語では diesi(仏 dièse、伊 diesis)という。音楽でもやっていないと、こんな言葉はわからない。diesiという言葉を聞くと、そのあとに seis (6), siete (7), ocho (8), nueve (9) が来るものと思ってしまう。ラテンアメリカでは diesi は dieci = diez y(「10と」の意)と発音が同じになる。
「半音上がっている」という意味の sostenido という言葉もあるが、これは 動詞 sostener(英 sustain 支える)の過去分詞形である。ただし、sostener という原形だと、「半音上げる」という訳語は見当たらない。常に過去分詞形で使われるのだろうか。
ともかく、sostenido が「シャープ、半音高い」の意味だとは専門に音楽をやっていないとわからない。
sostener の2人称単数の命令形は sostén になる。「下から支えろ」という意味だが、「支え」、「支柱」、「大黒柱」、「食糧」という意味にもなる。さらに、女性の胸を下から支えるもの、つまり「ブラジャー」という意味もある。ただし、最近はこんな言い方は聞かない。コスタリカでは英語 brassiere (元はフランス語)が一般的に使われているようだが、読み方はスペイン語読みになっている。sujetador(スヘタドール)という語もあるようだが、コスタリカでは聞いたことがない。
ついでに、フラット記号(♭)についても記しておく。フラットは英語 flat からだが、イタリア語ではベモーレ(bemolle)、フランス語ではベモル(bémol)、ドイツ語ではベー(b, Be)と呼ばれるとのこと(ウィキペディア「フラット(記号)」。スペイン語では bemol という。英語以外の「フラット」を表す主要なヨーロッパの言語では be- で始まっている。だから、記号は b に近い ♭なのだろう。
ちなみに、「半音下げる」はスペイン語では bemolar という。
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