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Band of Brothers バストーニュのエピソード

2013-08-07 12:09:28 | Band of Brothers
バンド・オブ・ブラザーズです。

前回の「衛生兵」から突入したバストーニュですが、ドラマでは語られていないエピソードがいくつかありまして、
本編には絡ませづらかったのかもしれませんが個人的には好きだったので、次の話に入る前に少しご紹介したいと思います。
主にエピソード6と7の間に起こった出来事です。


12月19日にバストーニュに布陣後のE中隊隊員たちの状態はひどいものでした。
斥候隊を出し、時々迫撃砲攻撃があり、散発的に機銃掃射がありました。そして医薬品が不足し、
温かい食事もとれず、そもそも糧食自体も不足していました。
極寒の中体力を消耗し、消耗した体力を回復させることもできず更にはそして弾薬も不足していました。
途中上空から補給があったもののそれは不足を補うものではありませんでした。

12月23日にシェイムス少尉がシフティを連れて斥候に行こうとしたとき、シフティはこれを拒否します。
「少尉、自分は行けません」
「なぜだ?軍法会議者だぞ」
「どうにでもしてください」
この瞬間までシフティは命じられたことはすべてやってきた、それ以上のことをやってきたと言える。
この時シェイムス少尉は軍法会議にかけるということは愚かなことだと考え、
「伍長、ゆっくり休め。あとで会おう」と言いました。

↑シフティです。

シェイムス少尉は後にこう語っています。
「シフティは限界に達していたがすぐに回復するだろうと思った。誰にでも限界点はあるんだ」
「もし自分が指揮官ではなかったらいつかは限界に達していた。ただ自分にはがんばる理由があった。」
「部下たちが自分を頼りにしている。その事実だったしだから最後まで走り続けられた。」
シェイムス少尉は後に大佐まで昇進していますが、素晴らしい上司ですね。

将校たちはいつも部下の限界点に注意していたそうです。
そして、限界かな?と思った部下は伝令を頼んだりして前線から少し下がらせるそうです。
45メートルほど前線から離れただけでかなり緊張が和らぐと言います。
「衛生兵」のエピソードの中でユージーンが動けなくなった時にウィンターズさんは一緒に町に行けと命令していましたね。
もしみんなが限界を感じ仮病や或は自分で自分を傷つけ救護所に行くようになってしまえば前線は消滅してしまいます。


E中隊の隊員たちもその衝動に常に駆られていましたがそれに負けた者はいませんでした。
そしてシフティもそれからわずかの間にきちんと回復しています。

12月26日、第37戦車大隊のクレイトン・アブラムス中佐を先鋒とするパットンの第3軍ドイツ軍の前線を突破しました。
これで第101空挺師団に対する包囲網が破られたので補給所とのあいだの輸送路が確立されすぐにトラックが食料や
医薬品、それに弾薬を運んできました。

包囲が破られたとはいえそれは防衛線の話で戦争に勝つためには攻勢を再開しなければなりませんでした。
アイゼンハワーはこの機を逃したくありませんでしたがアメリカは欧州と太平洋を同時に戦うのに必要な歩兵師団を
構成していませんでした。更に兵員だけでなく弾薬も不足していました。
結局、第101空挺師団と第82空挺師団を前線に投入することになりました。
これはE中隊にとって前線にとどまることを意味していました。

12月29日
回復したシフティが前哨基地からリプトンのところにきて報告します。
「ノヴィルの方向に昨日は無かった木が1本立ってます」
シフティは双眼鏡を持っていませんでした。
リプトンが双眼鏡で確認しますが不審なものは見えません。
と、言うのもシフティが示した道路には何本も木が立っていたのです。
リプトンは「本当?」とちょっと疑いましたが「絶対に昨日は無かった木です」と断固として言います。

↑リプトンです。

リプトンはもう一度今度はもっと神経を集中させて確認するとまず1本の木の近くで何かが動くのが見えて、
続いて他の木のまわりにも何かが動くのが見えました。
そして大砲の砲身も見え、しかも角度がかなり迎角になっているので88ミリ砲に違いありませんでした。
88ミリ砲はドイツ軍のもっとも基本的な高射砲のひとつでしたが水平射撃も可能な地上砲でした。

ドイツ軍は道路沿いの木立のところに高射砲陣地を構築しようとしていました。
そしてそれをカムフラージュしようと木を1本立てたのでした。

ムーズ川を越えて連合軍を分断する目的の達成に失敗していたドイツ軍はバルジにおける自軍の戦線を安定させ
撤退の準備をする必要がありました。
この高射砲陣地はその一環でバストーニュを陥落させてドイツに撤退するはずでした。
シフティが1本の木を見つけたことから始まり、アメリカ軍によって集中砲火を浴びせられ1時間もしないうちに
木立に人影はなくなりました。

狙撃手ってすごく目がいいんでしょうけどそれだけでなく観察力もすごいんですね。
シフティが優秀なスナイパーであることを証明するエピソードでした。


それにしても、ドラマの中の役者さんは雪の中で本当に寒そうでした。大変ですよね。
「バルジ」とか「バストーニュ」で検索すると当時の写真なんかも出てきますが、ドラマまんまの世界ですよ。
お金も時間もかなりかかったドラマだと言われてますがかなり忠実に当時を再現したようです。
しかし、何といってもウィンターズさんの凍えようは演技とは思えないほど寒そうで(笑)


ここまで読んでくださりありがとうございました。
次はエピソード7になります。

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