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MG:クライマックスのプールのシーンだ。
僕が昔住んでいたブリストルにある。子どもころよく泳いだ。
将来ここでホームズ作品を撮ることになると聞いたら幼い僕はさぞ驚いたろう。

BC:(子どもの声で)「そんなのうそだ」
MG:そもそも泳いでいる最中は聞こえない。
BC:ドクター・フーに言われたら?
MG:「やった!番組が続いてる!」
プラネタリウムのシーン同様、特にこういう山場においては
道具立てが重要だと感じる。ヒッチコックの映画みたいにね。
何の変哲もないプールでありながら不気味なムードが醸し出されている。
カーテンや水面に不気味さが漂う。背筋がゾクゾクするよ。

BC:効果的だね。実に美しい舞台設定だ。
BC:僕にとっては手を焼いたシーンでもある。
動きの多いシーンなのにスペンサー・ハートのスーツのポケットは銃でパンパンだった。
歩きにくかったよ。
MG:企業名は伏せて。
BC:おっと。
MG:やり直しだ。

BC:OK。僕の美しいスーツは・・・
本当に気が散ったよ。プールに落ちるかと思った。
アンドリュー・スコットの登場だ。
モリアーティが正体を現す。

MG:ただのゲイじゃなく大悪党だった。
BC:その通りだね。
MG:アンドリューがオーディションに来た時、その独自の役の解釈に誰もがほれ込んだ。
シャーロックやジョンと同様新たなモリアーティ像だ。
頭の禿げた60歳の教授ではなくありふれた様子で周囲に溶け込んでいる。
どの候補者も良かったがアンドリューの演技には茶目っ気と強烈な磁力があった。
大げさで気取ったセリフ回しもこの対決シーンに不可欠なものだ。
所々にゾッとする瞬間が。彼の顔がふと爬虫類か仮面のように見え、
その下に強大な「悪」を感じる。彼は最高だよ。

BC:結婚したら?
MG:ぜひしたいね。するとも。約束だ。
BC:マーティンの代理で言った。
マークのアンドリュー評には僕の全面的に賛成だ。
彼の身体表現には所々で本当にゾクゾクさせられる。
冷たい爬虫類のように見えてくるんだ。
MG:モリアーティはアイルランド姓だがアイルランド人で演じたのは彼が初めてだ。
BC:アクセントも完璧。
MG:それからもうひとつ・・・
BC:(モリアーティが近づいてくる場面)いい演技だ。
MG:原作でも描写されているが、彼の頭は爬虫類のように常に左右に揺れている。
アンドリューは僕の説明ですぐにその動きをモノにした。
僕の目の前で練習したんだ。この先さらに回数が増える。
ケヴィン・スペイシーの動きにも似てるね。
(モリアーティ「人は死ぬものなんだ!」の演技)
MG:今の表情も最高だ。鳥肌が立つよ。
このシーンはスティーヴンとの話し合いから生まれた。
当初、脚本に対決シーンはなかった。
次シーズンのいわば予告としてモリアーティの正体を明かすだけだった。
シャーロックは宿敵を逃してしまう。

MG:彼は「病院のジム」に再会。ジムは電話番号を残して歩み去る。
ハッと気づいて追うも時すでに遅し。彼は消えていた。
なかなか面白いエンディングだった。
だが90分×3本のクライマックスとあって、
やはり対決を描こうということに。
原作「最後の事件」に出てくる対決シーンを参考にした。

MG:スーツはV・ウェストウッド。
BC:ちょっと、君は言っていいのか?
MG:テレビじゃなければ大丈夫さ。
然るべき人の許可を得ればね。何も問題はない。

MG:ここでシャーロックははっきり悟ったはずだ。
選択を誤れば自分がモリアーティになっていたと。
彼らは常人よりはるかに頭がいい。だがシャーロックには心がある。
僕たちと同じように。
BC:モリアーティは悪党なのに魅力的だ。
かといってホームズも一歩もひけをとっていない。
彼らは互いに最高のライバルだ。
MG:結婚したら?
BC:すべきだね。

MG:この件もかなり話し合った。
宿敵の登場が早すぎるのではないかとね。
だがこのエピソードは3部作の締めくくりだ。
それにふさわしいものにしたかった。
楽しみを先延ばしにする必要はない。
様々な意見や議論があったが、結局第1話の最後からモリアーティの名を出した。
彼はシャーロックの人生にじわじわと忍び込む。
BC:この描き方で正解だよ。
MG:これは偶然だがアンドリューの足元に「危険」という看板が。
まさにシーンにぴったりだ。
ふたりは窮地にある。
最後にはモリアーティは立ち去りひとまず一件落着のはずだった。
だが僕たちは次シーズンへの期待を煽りたくて・・・

MG:まさかの再来だ。狙撃手も大勢いる。
映画「魔の家」のセリフの引用だ。
「ジンは私の唯一の弱点だ。」
正念場だ。

MG:ふたりは目と目で合意する。
自分たちが助かるより彼を殺すことが先決だと。
この1発でダイナマイトが爆発し彼らも吹っ飛ぶ。
彼の頭の動き・・・さあ、運命の時だ。

MG:次シーズンに続く。
(エンドロール)
BC:やれやれ、ようやく完成版が見れた。ありがとう。
また1年後ぐらいに会えることを願うよ。
MG:DVDスタジオでね。
終わりです。
言葉はいらないですね。
また観ようかな、グレートゲーム。
でも、ここらは良い意味での「いろいろ」だから。
ベンの真横向きの顔が素敵、とか、アンスコさんの目がすごすぎる、とか。マーティン含め3人の主要人物の人物像がこの短い場面に凝縮してるよなあ、とか。
そしてどっちにしても、このシーンはシリーズ屈指の名場面だなあと。
あまりにも早く、ベストなシーンが登場しちゃった?涙
わかります!ホントそれなんです(笑)
この場合言い出すとキリがないんですけどね。
真横向ききれいですよね、この表情含めて最高に好きですね。この3人が顔を合わせる貴重な場面ですし。
最初は6話で終わらそうとしていた通り凝縮しすぎて勿体ないとさえ思ってしまいます。もっと小出しにしていれば崩壊しなかったのでは・・・
モリアーティが本当の顔を見せるシーンをプールサイドに設定したアイデア、そしてビジュアル的にも美しく素晴らしいですね。細部にまでスタッフがノリノリであることが伝わってきます。
ジョンがプールサイドに姿を見せたとき、素朴な一視聴者であった私がどんなに驚いたことか! 今思えば、脚本家たちの思うがままに操られたのも快感でしたね。
うん、うん、心の底から同意します。もちろんS2も素晴らしいですがやはり私の中ではE1のラストとこの場面が原点です。私の人生を変えた場面と言っても過言ではありません。
このプールサイドも何の変哲もないプールなのに、いやだからこそ効果的だったのかもです。S4のプールとは全然違いますね。
S3以降はモリアーティというキャラクターが本当の意味で死んでしまったのも残念です。
そしてジョンの場面のミスリードも最高でした。快感、本当にその通りです。もうこんなにのめり込めるドラマには出会えないかも・・・
ですよね、ですよね。永久保存版ですよね!ここで正体明かしたのは良かったですね。しかしこのクリフハンガー度はクリフハンガーの中でも1,2を争うのでは。ふたりの表情は最高ですよね。目と目で通じ合ってるところも。古き良き時代になってしまいましたが・・・