昨年暮れから急な方向転換で、最後の手段だと考えていた陰影を排除した手法から、陰影(立体感)のある手法に戻った。しかし先週にさえ戻りたくないよう心掛けている私には後戻りは許されない。モチーフは写真どころか肖像に陰影を与えられたことのない時代の人物であることが大きく違う。 初めてジャズ、ブルースをテーマの個展で写真を発表した時、一人の編集者に人間の実写に間違えられ、わざわざ被写体まで作って既存のジャズ写真と一緒にされてはかなわない。翌年、大きく方向転換し、作家シリーズに転向した私が、古典的日本画調であることを、いつまでも喜んでいては明らかな衰退であろう。