明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


先日久しぶりに『オイルプリント』をやってみて、“ああこういう事故が起きたな”と思い出しても、その対処法まで思い出せなかった。 当時の文献を読むと、そこら中にアマチュア芸術写真家がいて、道具、材料が普通に売っていた。しかしインターネットにもまだ情報がなく、肝心の絵の具の硬軟、ブラシのストロークも不明であった。当然、質問に答えてくれる人もいない。用語など、話し合う相手がいてこそである。 しかしゼラチン紙に塗布する重クロム酸アンモニウムの感じや、焼付ける度合いなど、少しづつ思い出してきた。 私は薬品問屋から入手した精製されているゼラチンを使用したが、これが冬の寒い時期でないと、なかなか固まらず、固まらなければ乾かしようがなかった。(大量に作るには家中の壁に画鋲でとめて乾かした)しかし、当時の文献には季節には特に頓着していない。これが不思議であったが、田村写真の田村さんが、写真用のゼラチンを調達し、それがある程度気温が高くても固まるのであった。つまり私は冬の寒い時期にしかオイルプリントを試みたことがなく、先日の実験で勝手が違うのは当然のことであった。しかし祈るようにプリントした記憶は身体に残っており、回復するのは時間の問題であろう。
本日最後にたどり着いた店では、同行したMさんと、店主のHさん。共に娘の結婚を間近に控えている。この砂糖と塩を同時に口に放りこんで、それが気取られないよう強がっている二人の微妙な空気に居たたまれず。

※世田谷文学館にて展示中。

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