子供の頃、年寄りは何で平気で笑っているんだろう。もうすぐ死んじゃうのに?と思っていた私は、缶蹴りなどして入り込んだ下町の路地から見える、裸電球の下でガッチャンガッチャン機械で何か作っている老夫婦の背中が暗い寂しいものに見えた。考えて見ると、LED電球の下で一人、縁もゆかりもない、七百年前のツルツル頭を作る私はどう見えるだろう?とちょっと笑った。 午後用事のついでに母の顔を見に行く。小3でお世話になった『世界偉人伝』を下さった田中先生が、学年主任に「子供の絵じゃない」といわれたのに戦ってくれたのは覚えていたが、◯子だったか◯代だったは覚えていなかった。大人向けの『一休禅師』を判る訳ないから、と止めたことは覚えており、やはり、買い物帰り、書店の店先で、店主と立ち話している断りにくい状態で私はねだっていた。