明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



9月に写真の古典技法によるグループ展に参加を予定している。田村写真で作った田村印?のゼラチン紙のテストを兼ね、久しぶりに『オイルプリント』を試した。何しろ忘れてしまっていて自分のHPを見る始末である。 この技法は数ある古典技法の中の一つであるが、すっかり廃れており、大正時代の文献を頼りに試み、2000年年に立ち上げたHPも、主な目的の一つはこの技法公開にあった。 国内における芸術写真と称されたピクトリアリズムは、大正時代を中心に、富裕なアマチュア層が支えており、世界の写真界の動向も、いち早く知ることができた。当時のプロといえば写真館の写真師だが、ピクトリアリストからすると、 チャレンジ精神の欠如した古臭い連中とみなされていた。しかし歴史は動く。先端をいっているはずのピクトリアリストも、レンズを通し、対象を冷静に見つめるリアリズム写真の流れに抗しきれず、絵画を模倣した古臭いサロン写真とされ消えていった。 私は試作をくりかえしながら、この金持ちの爺ィどもを倒す!とむやみに敵愾心を燃やしたが、それはモノクロとカラーの銀塩写真全盛の時代に、様々な技法が当たり前に存在した時代に対する羨ましさと、写真を発表するつもりもなく、ただやってみたいというだけで人形制作を放っぽり出している罪悪感に耐えるためであった。 当時古くからの友人は、私が機械音痴のカメラ嫌いというのを知っていたので、友情を持っていい加減にしろ、といってくれたものであるが、しかし不倫の恋に燃える柳原白蓮の如く、そんなアドバイスも妙なる音楽にしか聴こえない当時の私であった。

プリンターにより出力されたネガ。左から『今古亭志ん生』『ドストエフスキー』『九代目市川團十郎』

太陽光による焼つけ。この後水洗し、ブラシにより油性絵の具を叩きつけていく。

インキング中映像↓

https://www.facebook.com/photo.php?v=248146845373855

※世田谷文学館にて展示中。

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