明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



真っ赤な血と降りしきる雪の白さ、白縫姫の弾く琴の音と武藤太のうめき声。いかにもな三島演出である。 別の切腹シーンで血糊が客席まで届きそうで、装置に血しぶきが飛び、毎日塗りなおしたそうである。寺山修司との対談で「僕は、あんなに血を出す気はなかった」と言っている。絶対ウソである。同じ年、映画『人斬り』で田中新兵衛役で唐突に腹を切るシーンで、大映京都撮影所が1年間で使う量の血糊を1日で使ったのは誰だ?「もっと血を!どっぷりと!」の三島由紀夫だろう。 映画『黒蜥蜴』では剥製になり、『からっ風野郎』では刺されて死に、『人斬り』『憂国』では切腹。武藤太が腰元達に裸で竹釘を打ち込まれ惨殺されるシーンでは、身体を鍛えた代役を立てたらしい。本当は自分でやりたかったろうが、文士劇ならともかくさすがの三島も歌舞伎の舞台は遠慮した。『椿説弓張月』のプログラムに書かれた文章を見つけた。〝私には堕落と悪への嗜欲も潜み、その夢は、雪のふりしきる中に美女達の手で虐殺される武藤太に化身してゑる〟ビンゴ。これで私は本人に『聖セバスチャンの殉教』をやられてしまった〝恨み〟を果たすことができる。 『深川江戸資料館』にゴールデンウィークに展示する谷崎潤一郎は、善男善女、お坊ちゃんお嬢ちゃんを前に、背景に女郎蜘蛛の彫り物入れた裸の女ではまずいだろう、と満開の桜にした。下地は金箔という想定だが、こんな事が出来るのは谷崎くらいであろう。

 

新HP

 

 旧HP

 

『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube  

 

 

 

深川江戸資料館にて葛飾北斎像展示中

 

 




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