明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



古い友人から、私が作るのを我慢しているのが可笑しい、とのメール。私は笑わすつもりはないが、付き合いが長いとそのように見えるらしい。どんな感じだというので、谷崎の美食倶楽部みたいな所に私の席が用意され、山盛りのご馳走が待っている。それを知っていながら我慢している。日に日に腹が減ってきて、それに応じて用意されたご馳走が豪華に膨れ上がっていく、そんな感じ。 これからはそんなことはなくなるだろうが、実在した人を作っていると、写真を見ながら、ある程度似せなければならず、頭部の制作は辛いだけである。頭部ができれば、身体部分の制作は、撮影のことを考えながら楽しく一気に作る。 これは二十代からの癖なのだが、身体に取り掛かる前、頭部をポケットに入れ出かける。そうすると、家に帰れば楽しいことが待っているので、飲酒でもなにをしても愉快である。また、わざと作り惜しみし、取りかからないで空腹感を演出し、さらに美味しく食べようとする場合もある。何しろ空腹であるから、集中力も快感も倍増である。私のマゾヒズム体質を利用した制作法とでもいうか。 それを考えると寒山拾得を作り始めたらどんなことになるのだろうか?
旧HP
『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家たち』 2018年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutube
2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube



『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載10回『劇場の永井荷風』


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