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明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



昨日完成するはずだった軍人をようやく母校の前に立たせた。ここに立たせるのは数年来の目標であった。でないと軍服来ている意味がない。立たせてみてから上空の青空、手すりの赤その他、建物の色とのバランスを考えながら顔色などを調整する。 陸軍医官のトップ、軍医総監の森林太郎、森鴎外である。ビタミンが発見前ではあったが、脚気は脚気菌なる物の仕業だと、死ぬまで譲らなかった。ロシア兵はよたよたした日本兵を見て酔っぱらっているのではないか、と思ったそうである。おかげで相当な数の兵隊が弾に当たる前に死んでいる。 鴎外を描くとしたら普通は文豪として描くだろう。それは悔しい、そうは問屋がおろさず、と軍医総監の礼服仕様にした。軍服というのは模様や兵科色という様々な部位により階級所属が判るようになっている。これがまた年代によって変更されているのがややこしい。特に色を調べ出すのが一苦労であった。やれるだけのことはやってみた。こういうことは例えば映画『八甲田山』などでも苦労したらしい。 居眠りするせいで、はっと思うと鴎外が画面からいなくなっていたり、上空にいたり地面にいたり。あげくに力尽きて保存をし忘れ、朝、開いてみたら明け方直した所がなおっておらずガッカリ。出来はというと、今は在りもしない時計塔を乗せたので、予定より長い画面になってしまったが、それ以外は私の頭に浮かんだ通りである。 文豪のムッツリ顔にベルサイユの薔薇みたいな衣装で面白い、と思ったが、出来てみると結局偉い人になってしまった。



銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載7回「“画狂老人葛飾北斎”」

HP

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