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明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



浮世絵、日本画から取り入れて見たいと考えていたのは、まずは陰影、次に遠近感、時間の扱いである。円朝では陰影を撮影時に消してみたら日本画のようになった。それだけではこうはならない。 陰影を消すためには画面のなかに配するものを、すべて個別にライテイングして撮影しなければならなかったが、横に置かれる物も後ろに置かれる物も、すべて正面に置いて撮影した。それを一つのレンズでいっぺんに撮影したような顔をして配すると、不自然な遠近感のずれが生じる。これがまた、写真ではなく絵に見えることに貢献していた。そもそも燭台、湯飲み、扇子、人形、それぞれ縮尺も違う物を、そうやって均等に撮影し、画面に配した。奇妙な違和感が出るのは当然である。こんなことを見つけて喜んでいるのは私だけだろうが、私はだいたい、あまり考えずにやったことに自分で影響を受けて、次回から取り入れてきた。これから意識して取り入れていくだろう。 遠近感で思い出すことといえば、東京オリンピックである。グラフ雑誌をむさぼるように読んだ。陸上を捕えたカットでは、後ろの選手が大きく見えるのが子供の私には不思議でしょうがなかった。市川崑の『東京オリンピック』はなおさらであった。あれが望遠レンズの圧縮効果、ということなのであった。


HP

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