明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



オイルプリントの独学について何度か書いたが、教えてくれる人がいたならともかく、廃れまくって跡形もない技法であった。91年頃ならまだ戦前のブロムオイリストの生き残りがいたはずだが、探しようがない。 程なく当時の文献データから自己流にはみ出し始めた。階調を得る為、シャドー、中間、ハイライトと三種のネガを作り、それぞれインキングを施し転写することにより階調が得られることを知ったが、私にはそういう作業が向いていない。目の前のことだけにしか責任が持てないタチなのである。昔目指した陶芸の世界も、ロクロを回しながら乾燥中の作品のことを気にし、窯の温度を気にし、全体的に作業を進めるが、それがまったく向いていなかった。(ついでにいえば暗室作業がまた向いていない)そこで私はゼラチンの厚みを厚くし、一回で階調をより多く出そうと考えた。 先日も書いたが、後に既成の印画紙を使うブロムオイリストの映像をネットで見て、豚毛のような硬い毛質の大きなブラシを逆手に持ち、ドカドカ画面を叩いているのを見て驚いた。私の方法ではゼラチンがダメージを受け、とてもできない。人形制作もそうだが、比較参考にするものがないせいで、いつのまにか私なりの方法になってしまう。 この映像は、出品中のプリントのインキング映像だが、ゼラチン紙が水を含んで膨張し、レリーフ状になっている様子が判っていただけるだろう。柔らかいブラシを使用し、特に仕上げの段階で、触れるか触れないか、というブラシの使い方をしている。この映像では判りにくいが、あれで画質が微妙に、しかしぐっとアップするところが醍醐味である。 これを写真というか版画というか、どう解釈するかはあなた次第です?ついでに被写体は粘土ですけど。 写真というまことを写す。という言葉を嫌い、まことなどと一切かかわりたくない。と画面から排除することにファイト燃やしてたらこうなりました。

インキング映像↓

http://youtu.be/kZozcEqgKsE 

『モダン藝術写真展』9月15日(月)~10月7日(火)

http://t.co/lc05lwVaiM

※世田谷文学館にて展示中10月5日まで

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