弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

弁護士の専門分野

2011年12月27日 | ⑥弁護士等法曹情報
この年末死ぬほど忙しくて,なかなかブログを更新する暇がありませんでした。

別に仕事が全部はけたわけじゃないですが,キリがなく,煮詰まり何もせずボーとするわけにもいかないので,久しぶりにブログを更新します。

現在の過半数の多くの弁護士には,専門分野は特になく,みんな町医者のように来た事件でやれる自信がある事件はとりあえず何でもやっているようです。

しかし,弁護士の仕事の中には,特に専門性の高い事件があり,実際,その分野を集中的にやっている弁護士がいる分野があります。
(ここであえて「集中」と言っているのは,「専門」と書くと,それだけをやっているような意味合いがあるからです。)

たとえば,医療,知的財産権,M&A,大規模倒産,建築紛争,労働,消費者,投資被害等など・・・(これらも普通の弁護士でもやっている場合もあります。これらすべてが特別難易度が高いとはいえなかったり,初めてでも調べながらできてしまう優秀な弁護士もいますので。)
(あと,どの弁護士でも普通にやっている事件でも,場合によっては難解な事件もあり,特に経験を積んで,成果を上げる可能性が高くなっている弁護士も,ある意味「専門」といえます。しかし,こういう弁護士を的確に探すのは,非常に難しく,運が必要でしょうね。)。

日弁連の広告基準には,「専門」という言葉を使ってはならず,「重点的取扱分野」とか「得意分野」という言葉を使うように決まっています。
しかし,これらの言葉の違いがわかる一般の消費者がどれだけいるのでしょう?私はそんなにいるとは思えません。
禁止されていない後者2つについては,現時点,言った者勝ちの状態です。

これらの言葉は,いずれも,使う者の知識や経験が豊富で,良質の法的サービスを提供する可能性が極めて高いことを一般の消費者に期待させるものです。
しかし,どのくらい知識があるかは,だれにもわからず検証も現在のところ困難な状況です。
経験にしても,たくさんやっていればいいものではなく,1回の経験で10を知るだけ一所懸命している人と,100の経験しててもほとんどいい加減にしている人とでは,全然意味合いが違います。(まあ,たくさんやっている方ができる可能性は相対的に高いとはいえますが・・・)

楽をしている宣伝上手な人には,「専門」という言葉を解禁すると,その弁護士は儲かるが,消費者たる市民は被害を受けます。
しかし,「専門」という言葉を禁止すると,まじめに勉強して,経験を積んでいる弁護士は損をしますし,そのような弁護士にたどりつけない消費者たる市民は損をします。

私が尊敬する弁護士の一人の姫路の山崎省吾先生(現全国先物取引被害研究会代表幹事)は,以前,「『専門分野を持っている』と自覚する弁護士は,その専門分野の相談が来たら,安易に他に回したり,安易に相談者に無理だと言ってはいけない。自分が最後の相談相手である覚悟を持つべきである。自分が安易にそうすると,その人は本当は救済されるべきなのに全く救済されなくなってしまう。」という趣旨のことをおっしゃっていました(もしかすると少し違ったかもしれませんが・・・多分こういうことだと私は解釈しました。)。
専門分野を作ろうと思っている弁護士には,とても心に響く,忘れてはいけない教訓だと思いました。
(もちろん,専門分野でも敗訴の可能性をきちんと説明しなければならりません。十分吟味したうえで,勝つのが難しい場合は,その旨きちんと説明をしなければなりません。)

この広告規定のために,本当は市民のために,専門分野を中途半端しか宣伝できず埋もれている,優秀な弁護士が世の中には数多く存在します。
この人たちに光をあてる方法はないものか。上述の弊害を考えるととても難しい問題ですね。


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7 コメント

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弁護士と得意分野 (cello)
2012-02-06 17:54:39
依頼者側からすると、やはり凡その得意分野は示しておいてほしいと思います。1分野では生活の面で問題があるでしょうから、3分野位の得意分野は明確に打ち出して、
依頼者の期待に応えられる可能性につきよく話し合って、不得手な分野は勇気をもって、断ってほしいと思います。金融関係で、人の論文を買い集めて○○教授はこのように言っていますというような論法で法廷に臨むのは勝ち目は薄いようです。特に野村辺りは「宣誓」等無視で、会社のマニュアル通り、担当者を事前に転勤、もっと酷い時は早期退職までさせてまで勝ちに向かいますから普通の弁護では、とても無理です。段々、数人の弁護士に話をして最適と思われる人を選ぶ時代になるでしょう。
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ありがとうございます (NOBI)
2012-02-07 01:19:50
数人の弁護士と話をして最適と思う弁護士を選ぶ手法は正しいと思います。
ただ気をつけなければならないのは,自分にとって都合のいいことをいうという基準だけで選んではいけません。
安易に,「大丈夫」「勝てる」という弁護士は行かんでしょうな。
勝てる可能性と負ける可能性について合理的な内容でかつ底の深い説明ができる弁護士がいいと思います(もちろん時間的制約があって,短時間では説明がしきれないかもしれませんが)。
しかし,法律実務の素人にその説明が合理的であるか,底の深いものかは,なかなか判断難しいのが難点です。
誰の説明を聞いてもよくわからないと,結局見込みを耳に聞こえが言いように言っている人を選びがちになりそうです。
私のような消費者弁護士は,消費者弁護士がさらに消費者被害(二次被害)を出してはいけないと思っているので,過剰説明してしまい(特に負けるリスク),他ではなかなか思いつかない勝てる可能性を締めていたりするのに,断られていますね。

あと,野村の情報詳しいみたいですね。
もう少し詳しい情報をそっと私のメールに頂けると幸いです(もちろん野村に対して守秘義務などある場合には無理はしなくて結構です。)(笑)
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celloさんのコメント1「弁護士の専門分野」 (NOBI)
2012-02-15 03:31:09
celloさんのコメントにつき,実名が多数記載されていましたので,管理者として,celloさんのご承諾の下,イニシャル化させていただきました。

(以下,訂正後のcelloさんのコメント1)

NOBI様
メールをお送りしましたが、高齢でアドレスを読み違えたのか、英文で未着の連絡がありましたので、コメントでお知らせします。といいましても、ネットで「N証券 OY」で検索して頂くと、実名で山のように出てきますので、ゆっくりご覧ください。私が、未経験のため、もっと反論する機会があると思っておりましたらいきなり棄却になり、棄却理由に「事業承継」の書類を見たのに「目論見書」を見ていないのは不自然で信用できないと結論つけていますが、「事業承継」は持参したもので、厚さ5cm程のファイルに入っており、宅急便でしか送れないサイズで、もし本当に送れば受領印が残る筈でそういう事は、裁判官も全然考えて無い様で当方の弁護士も、金融に疎く(紹介者はM新聞くらしナビ担当のN弁護士)書店で、関係書を買い込んで著者の論説を読み上げ攻撃していましたが、結果は棄却でした。Oは自宅訪問の3日前に商品の目論見書等送らせ私が受け取った証拠もなく、私の知識でカタカナ英語を理解できず、Oの嘘でありそれを隠すため、早めに橋本を定年退職させ、挨拶もせず、住所も裁判が終わったことだから、すべて終了したとして答えません。たった一度で決まった判決ですが、A弁護士は20万をもって上告に来るように連絡がありましたが、勝てそうな話もないので断りました。私は適合性原則違反、事前
説明の不備、高齢者には適当でない商品を争点にしてほしかったのですが、一寸方向も違ったようです。兎も角、実名で何か所にも書き、検索しにくいと思いますが、興味があればお読みください。
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celloさんのコメント2「反省」 (NOBI)
2012-02-15 03:32:46
celloさんのコメントにつき,実名が多数記載されていましたので,管理者として,celloさんのご承諾の下,イニシャル化させていただきました。

(以下,訂正後のcelloさんのコメント2)

私の場合、早とちりだったと思います。そこまでN証券を信用したのが間違いで、動く前にもっと調査しておくべきで、M新聞の記事に飛びついたのが間違いで、N弁護士の紹介で大阪は遠いから名古屋を紹介すると言われ、その筋では、優れた方を紹介されたと思い込んでしまったのが悪かったのかもしれません。N先生も京大で先生と同窓で、私も私を騙したOも慶應で同窓なのが皮肉な事です。何しろもうこの件は、終わったことですから、言葉と文字で、続いて犠牲者が出ないように攻撃していくつもりです。celloとか無名塾というのは私の書いたもので、若干変換ミスがある事をお許し下さい。N証券は、嘘がばれそうになると転勤か早期退職がお得意の様で、知人にも時々聞く話です。
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celloさんのコメント3 (Unknown)
2012-02-15 03:33:33
celloさんのコメントにつき,実名が多数記載されていましたので,管理者として,celloさんのご承諾の下,イニシャル化させていただきました。

なお,訂正前のcelloさんのコメントのタイトルは,1が「弁護士の専門分野」,2が「反省」,3が「度々お邪魔します」です。

(以下,訂正後のcelloさんのコメント3)

私が名古屋の弁護士と打ち合わせをして、2回目に突然女性の若い弁護士が現れ、私の弁護料の中から私の頭の後ろで(実際にはには見えないですが)支払ったような雰囲気があり、下請けか勉強代かと思ったことがありました。その後は、過去の取引の分析などは彼女がやり、終盤は独立して全く違うところに事務所を持ちました。A弁護士は何かの研究会の講師をした元南山大学の先生に、原稿を依頼したらしいのですが、返事も来なく実現しませんでした。多分あまり得意な分野でなかったのかも知れません。弁護士選びの失敗例かもしれません。
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celloさんのコメントに対するご回答 (NOBI)
2012-02-15 03:39:44
celloさんには,直接,メールでご回答しましたが,コメントには原則お答えするという当ブログの方針があるので,若干その回答内容を紹介いたします(少しニュアンスは変わっているかもしれませんが,概ね同じ趣旨のつもりです。)。

N弁護士は,証券被害では有名かつ有能な弁護士で,N弁護士に最初に話を持っていたこと自体は間違っていなかったと思います。

A弁護士も,私は直接の面識はほとんどないですが,名古屋のその道では有名な弁護士です。

N証券の訴訟戦略が巧みで,裁判所が安易に証券会社側に有利な判決を書く傾向があるということもあり,N証券に簡単に勝つのは難しいのは事実で,A弁護士に敗因があったとは断じることは難しい話です。私自身事案がわからないですので,A弁護士の弁護過誤の有無については何とも言えません。

N弁護士,A弁護士,私等の証券被害弁護士は,上述の困難な状況の中でも勝訴率を少しでも高めようと日々精進しているところで,celloさんの事件も,おそらくですが,その精進の途中の話だったと思います。

結果については,非常に残念な結果であり,何と申し上げてよいかはわかりませんが,結果が負けた以上,我々証券被害弁護士にも十分反省すべきところはあったと思います。
こう言っては業界擁護的と思われるかもしれませんが,私はそのように認識しています。

実際に弁護過誤があったかは事件記録を見ないと何とも言えませんが,仮に弁護過誤がなかったとしたら,他の弁護士でも勝てたかどうかはわかりませんし,仮に勝てる可能性があったとしても,勝ち切る弁護士は現時点において日本でも数人しかいないと思います(将来は我々の知識・技術が向上して,もう少し容易に勝てる日が来るかもしれません。いや,我々はその日が来るのを信じて頑張っています。)。

逆に,A弁護士に弁護過誤があった場合には,celloさんのおっしゃるとおり,他の弁護士を選べばよかったというほかないでしょう。

以下は,celloさんへのメールに書いていないことですが,
A弁護士が若い女性弁護士に受任事件においてお金を渡すこと自体は,そんなに問題がないと思います(celloさんは,非弁・提携の記事でコメントされていたので,A弁護士が紹介屋的なことをしているニュアンスを感じましたので,あえて書きます。)。
証券事件においては,一人で戦うにはしんどいことが多く,共同受任という形で,若手の育成及び補助を頼むことはよくあることです(逆に,若手が自分の勉強と補助のためにベテラン弁護士と組むことも多いです。)。
A弁護士が何らの作業もしていなかったのなら,話は別かもしれませんが,celloさんの文脈からは,そのような感じは受け取れませんでした。
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補足 (NOBI)
2012-02-15 03:50:56
ただ,紹介された弁護士に実際に相談してみて,能力や信頼関係について,不安を感じたなら,仮に実は能力がある弁護士だったとしても,依頼はとりあえず留保して,他の弁護士にも相談してみて,見比べみる必要はあると思います。

もし不安を感じたまま依頼してしまうと,不幸にも悪い結果なった場合,心残りが生じたり,不信感が生まれたり,そのため,依頼者と弁護士の関係がぎくしゃくしたり,お互いにとって不幸な結果になるからです。
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