◇タリナイ(2018年 日本 93分)
監督/大川史織 プロデューサー/藤岡みなみ
出演/佐藤勉
◇母親ニ孝行シテ下サイ
人間、2歳のときの記憶はほとんどない。
74歳になる佐藤勉さんもそうで、でも、佐藤さんの場合、それがとても悲しい。なぜなら、父親の出征と戦死のために再会することが叶わなかったからだ。佐藤さんはそんな父親の面影を追いかけて、遙かマーシャル諸島のウォッゼ島へ赴いてゆく。
で、いろいろあって、短パンにTシャツという南の楽園を旅するような恰好だったこともあって、猛烈な日差しに全身が焼け焦げてしまったりして、けど、お父さん、勉は来ましたよ~という呼び掛けで、すべてが洗われていくんだね。
なんていうか、21世紀の20代の女の子たちがどうしてこんな重い主題に目を向けたのかわからないんだけど、撮り方は硬質なドキュメンタリー映画っていうよりも不慣れな若い人達の目線をまったくぶれることなく撮られた紀行映画って感じがした。上手いとかどうとかいう話ではなくて、こういうほんわかした戦跡訪問映画があってもいい。
よくやったな、がんばったな、と、素朴におもう。