脱ケミカルデイズ

身の周りの化学物質を減らそうというブログです。 

プロ野球球場がやり玉に 「人工芝でがんになる」論争勃発

2016年04月20日 | 化学物質

NEWSポストセブン2016年4月19日(火)7時0分配信
プロ野球球場がやり玉に 「人工芝でがんになる」論争勃発http://news.nifty.com/cs/sports/baseballdetail/postseven-404357/1.htm

 

 ヤクルトスワローズの本拠地で、六大学野球の聖地でもある神宮球場が使えなくなるかもしれない──。といっても、東京五輪・パラリンピック組織委員会が「大会期間前後に使用をストップしてほしい」と求めた件ではない。なんと球場で使用される人工芝に、「発がん性」の疑いがかけられているのだ。

 衝撃のニュースは米英から相次いで届いた。米国で今年2月、政府の消費者製品安全委員会が環境保護局などと共同で「人工芝の安全性を調査する」と発表すると、3月には英国の環境医学を専門とするスターリング大学のアンドリュー・ワターソン教授が、サッカー競技場で使用される人工芝に複数の発がん性物質が含まれることを確認した、との研究結果を発表。欧米に衝撃が広がっている。

 きっかけは2014年に米国で放送されたあるテレビ番組だった。番組では、人工芝でプレーしていた全米各地の女子学生サッカー選手38人が、悪性リンパ腫や白血病など血液のがんなどを発症していたことを報じ、そのうち34人が芝生との接触が多いゴールキーパーだったため「芝生の発がん性」が疑われたのだ。

 問題視されたのは、人工芝の充填剤(クッション)として使われる「黒ゴムチップ」だった。なかでも廃タイヤを粉砕して製造する黒ゴムチップには、ベンゼンやカーボンブラック、亜鉛など発がん性が指摘される物質が含まれている。

 そうした指摘に対し、人工芝製造の世界最大手企業であるカナダのフィールドターフ社が「健康や環境に害を及ぼすことを示す決定的な科学的根拠は示されていない」と反発するなど、議論が続いている。

 事実とすれば、プロ野球12球団のうち9球団で人工芝を使用している日本にも波及する大問題である。10年以上前から黒ゴムチップの有害性に警鐘を鳴らしてきた、びわこ成蹊スポーツ大学の青木豊明・名誉教授は、

「球場を始め、黒ゴムチップを含む人工芝が全国の競技施設や大学、小中学校で急速に普及しており、もしこの有害性が証明されれば、日本でも健康被害が懸念される。芝自体の張り替えが必要になりますが、黒ゴムチップではなく、ウッドチップなど安全性の高い天然素材に変えるべきです」

 と指摘する。国会でもこの3月、参議院予算委員会で民進党ネクスト厚労大臣の川田龍平議員が黒ゴムチップの有害性について質問し、馳浩・文科相は「指摘を受け、文科省も情報共有に努めております」、塩崎恭久・厚労相は「黒ゴムチップと、がんの関連性について必要な調査を行なう」と回答している。川田議員が語る。

「質問で黒ゴムチップを使った人工芝への改修を行なう予定だった東京都北区にある『国立スポーツ科学センター』のフットサル場を一例として取り上げたところ、4月5日にスポーツ庁から充填剤を“天然素材のもの”に変更すると連絡を受けました。

 調査結果を待たず、まずは利用時の注意喚起を行なうべきです。同様の措置が全国で広がるよう、これからも発言したい。また代表的な場所として、昨年1月に人工芝を張り替えた神宮球場についても指摘しました」

 もし有害性が認められれば、五輪期間だけでなく「永久使用不可」となりかねない事態だ。人工芝を駆け回る「つば九郎」の表情も何となく曇りがちのような……。

※週刊ポスト2016年4月29日号


イワシ8割から微細プラスチック おなかに東京湾のごみ

2016年04月09日 | 化学物質

東京新聞2016年4月9夕刊
イワシ8割から微細プラスチック おなかに東京湾のごみ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016040902000231.html

  ごみとして海に浮遊する五ミリ以下の大きさの微細なプラスチックを、東京湾で捕れたカタクチイワシの八割近くの内臓から検出したとの調査結果を東京農工大の高田秀重教授らのチームがまとめた。

 魚の体内から見つかったのは、国内で初めて。餌と間違えてのみ込んだ可能性があるという。人が食べても排出されるため直接的な影響はないが、量が増えると海の生態系などに悪影響を及ぼす懸念があり、高田教授は「海への流出を防ぐ対策が必要だ」と訴えている。

  大きさが五ミリ以下の微細プラスチックは「マイクロプラスチック」と呼ばれる。レジ袋などのプラスチックごみが紫外線や波で砕かれてできたと考えられ、東京湾をはじめ日本周辺の多くの海域で浮遊していることが確認されている。

  チームは昨年八月、東京湾で捕ったカタクチイワシ六十四匹の消化管の中を調べた。この結果、四十九匹から計百五十個のマイクロプラスチックを検出し、〇・一~一ミリの大きさのものが約八割を占めた。

  また約一割は、古い皮膚や汚れをこすり落とすため洗顔料などに入れられている「マイクロビーズ」と呼ばれる微粒子だった。通常は下水処理場で取り除かれるが、大雨で下水管があふれた際に東京湾に流れ込んだと考えられるという。

  高田教授は「予想より多く、東京湾の魚は日常的にプラスチックを食べていると考えられる。世界の報告例と比べても多い方だ」としている。

  高田教授によると、微細プラスチックは、環境中の有害な化学物質を吸着しやすい性質がある。プラスチックを通じ、海鳥が体内に化学物質を取り込んでいることも分かっており、チームは生物への影響をさらに調べる方針。

 ◆世界で5兆個 マイクロプラスチック 国際的課題に

  世界の海には5兆個のマイクロプラスチックが漂っていると推定され、プランクトンの数より多い海域もあるとされる。食べた生き物の体内に、プラスチックに付着した有害化学物質が蓄積する恐れも指摘されており、昨年の主要国首脳会議(サミット)で対応策が議論されるなど国際的課題になっている。

  海外では、米国や英国、インドネシアでの調査で魚からプラスチックが検出されているほか、ウミガメやクジラ、二枚貝からも見つかっている。また海鳥全体では、90%の胃腸にプラスチックが取り込まれているとの推計もある。

  高田教授によると、プラスチックは海に溶けたポリ塩化ビフェニール(PCB)などの有害化学物質を吸着して濃縮する性質があり、これを摂取した生物の脂肪に蓄積される可能性がある。

  こうした懸念から、昨年ドイツで開かれたサミットでは、プラスチックを含む海洋ごみの対策強化が首脳宣言に盛り込まれ、国連主導の実態調査も始まった。

  高田教授は「海へ流入するプラスチックは、分解が極めて遅くどんどんたまる。手を打たなければ今後20年で10倍になるという推定もある」と警鐘を鳴らす。

  <マイクロプラスチック> 大きさが5ミリ以下の微細なプラスチック。ごみとして海に流れ込んだ包装容器などのプラスチック製品が紫外線や波により、破片になったものが大半を占める。他に、洗顔料などに使われるマイクロビーズや、化学繊維から出る糸くずなどがある。環境省の調査では、日本周辺海域の1平方キロ当たりの量は、世界の海の平均に比べ27倍に上った。環境中の有害化学物質を吸着する性質があり、誤飲した鳥や魚などへの影響が懸念されている。世界の海に漂うプラスチックごみは今後も増え続け、2050年までに重量換算で魚の量を超すとの予測もある。


抗生物質使用3分の2へ 20年度目標

2016年04月01日 | その他

毎日新聞201641日 2005分(最終更新 41日 2005分)
抗生物質使用3分の2へ 20年度目標
http://mainichi.jp/articles/20160402/k00/00m/040/058000c

  抗菌薬が効かなくなる薬剤耐性菌の拡大を防ぐため、政府は1日、初の行動計画を公表した。抗菌薬の使用量を2020年度に現在の3分の2へと減らす数値目標を盛り込んだ。抗菌薬の乱用防止のためガイドラインを策定し、風邪の一種である急性上気道感染症の外来患者に対する抗菌薬処方の規制も検討する。

 抗菌薬は抗生物質とも呼ばれる。耐性菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や多剤耐性緑膿菌(りょくのうきん)(MDRP)などがよく知られている。病院や介護施設などで広まって免疫力の落ちたお年寄りや病気の患者などが集団感染し、死者も出る事例がたびたび起きてきた。

 また、肺炎を起こす原因菌の一つである肺炎球菌も、抗菌薬のペニシリンが効きにくくなっていることが問題化している。

 厚生労働省によると、民間研究機関の予測では、薬剤耐性菌に起因する死亡者数は現在、世界で少なくとも70万人に上り、現状を放置すると50年には1000万人になると予測されているという。

 今回の行動計画では、病原菌の種類ごとに、細菌全体に占める耐性菌の割合を大幅に減らすことを目指す。「肺炎球菌のペニシリン耐性率48%を15%以下にする」などの数値目標を掲げた。

 目標達成のための行動計画は、「普及啓発」「研究開発」など6分野にわたる。まず、病院に加えて高齢者施設でも、耐性菌の実態について情報収集を行う。

 一般市民に対しては「風邪の多くには抗菌薬は有効ではなく、必要以上に抗生物質の処方を医師に求めない」ことの普及啓発を行う。

 医師や薬剤師に対しては、適正使用についての教育研修を行う。研究開発・創薬を後押しするため、新しい抗菌薬の審査スピードを2倍にする制度も創設する。

 行動計画は4日にも関係閣僚会議で正式決定する。5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも、各国に取り組みを呼びかける。【熊谷豪、野田武】

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