
WBCスーパーバンタム級タイトルマッチ
半年前の試合です。神戸で行われたWBC戦は、王者の西岡利晃選手(Toshiaki Nishioka)がアルゼンチンからの挑戦者マウリシオ・ムニョス選手(Mauricio Javier Munoz)に9回KOで勝利して6度目の防衛に成功した一戦でした。
この日も西岡選手の素晴らしいパフォーマンスでした。
探りで出す右で相手のジャブなどを弾き落としながら、相手のボディ顔面へ伸ばす鋭い左ストレートをリードに距離と位置をコントロール。ポジションをキープするための細かなステップワーク・位置取りも巧みで、リードの左と足さばきとで実に効率よくほぼ完璧にペースを掌握し続けていきます。
ムニョス選手がワイルドに出てきた3回に右をもらって足元を乱した場面もあった王者でしたが、強烈な左アッパーを再三決めてペースを譲りません。
4回には効果的な右ジャブを、5回には右フックを相手の入りにカウンターで、など右の攻撃も有効に決めながら立ち上がりから終始一貫して強くヒットし続けていた上下への左で着実に挑戦者の戦力を削っていった西岡選手。
9回に顔面への左ストレートを強烈に決めて挑戦者をグロッキーに陥れ、左アッパーでさらに効かせ、それでも必死に粘るムニョス選手にトドメの左ストレートでノックダウンを奪った末の見事なフィニッシュでした。
3回のピンチで見せた反撃は、強気と冷静さとを感じさせた力強いもので見事でした。立ち上がりからかなりハイペースにクオリティの高いボクシングを最後まで攻撃的に貫いた王者の戦いは素晴らしいものでした。
西岡選手は38勝(24KO)4敗3分。ムニョス選手は21勝(9KO)3敗。(この敗戦後すでに2試合をこなし現在は23-3,10KO)
さて、明日ラスベガスで元2階級制覇王者ラファエル・マルケス選手を相手に6度目の防衛戦に臨む西岡選手。
前日計量が行われ、西岡選手122lb、マルケス選手121でともにパス。
日本人世界王者として初めての本場ラスベガスで防衛戦を行う西岡選手。現在35歳で日本人の最年長防衛記録の更新もかかる、といった面でも注目なんでしょうか。
ですがそんな事に西岡選手自身は関心ないのではないでしょうか。
彼のメンタル的に世界的強豪マルケスを相手に本場ラスベガスでのリングで、という大舞台はより大きな力を発揮できる要素になる気がします。
世界的に見ても好カードと言えるこの試合ですが、現在充実著しい西岡選手にとって死角は見当たらない、と私は見ています。マルケスの素晴らしくハードな左ジャブ、これに西岡選手がどう対応していくのかに興味があります。
マルケスの強打とハートの強さ、そして数々の激闘を戦い抜いてきたキャリアに対するを敬意を忘れることなく、いつも通りに戦えれば西岡選手の優位は動かないでしょう。
マルケスは出てくるでしょうから無理に西岡選手から攻める必要はなく、パンチを強く打つことよりもスピードに意識の比重を傾けて戦って欲しいところ。
スピード差を生かしたシャープな攻撃をマルケスの攻撃の終わりに合わせていき、そして動く、というボクシングが出来ればKOチャンスも必ず訪れるはず。対ジョニゴン戦の時のようなインパクトのある勝利に期待したいです。
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