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アンソニー・ジョシュア対ウラジミール・クリチコ(2017/04/29)

2017-04-30 23:21:23 | ボクシング

IBF・WBAヘビー級タイトルマッチ

2012年ロンドン五輪金メダリストでプロ入り以来全KO勝ちを続けるIBF王者27歳のアンソニー・ジョシュア選手(Anthony Joshua)に、1996年アトランタ五輪金メダリストでプロでも通算23度の防衛を誇り長らくヘビー級の頂点に君臨してきた41歳の元王者ウラジミール・クリチコ選手(Wladimir Klitschko)が挑んだ注目のヘビー級戦は英国ロンドンで行われ、ダウン応酬の熱戦の末に逆転といっていい劇的な11回TKOでジョシュア選手が勝利して新旧交代を印象付けた一戦でした。(体格比較)

17か月ぶりのリングだったウラジ選手。スタートからやや強めに出て若き王者にプレッシャーをかけていきます。思っていた以上のウラジ選手のプレスに対してやや慎重になったようにも見えるジョシュア選手でしたが、シャープなブローを飛ばして対抗。窮屈そうに映るものの、3回開始早々から攻勢を強めるなど徐々にペースを引き寄せていきました。
4回にウラジ選手の右を強く食って少し効いたのか?と思わせた場面も見せたジョシュア選手でしたがすぐに右を当て返してペースをキープ。そして5回開始直後に右から左フックを決めてチャンスを掴んでからの一気のラッシュでウラジ選手からノックダウンを奪ってみせます。
しかしこのダウンを奪うまでの連続攻撃とさらなる追撃とで一気にスタミナを失ってしまったジョシュア選手。ウラジ選手の反撃を無防備に浴びてしまうシーンも続いてほとんど立っているのがやっとという状態にまで追い詰められてしまいます。そして続く6回にはウラジ選手の右ストレートを強烈に決められてダウンを奪い返されてしまいます。かなり痛烈なノックダウンでなんとか凌いではいるもののジョシュア選手にとっては絶体絶命の大ピンチでした。
しかしやはり若さなのでしょうか、7回から自ら仕掛けずにウラジ選手の攻撃に対処する戦いでスタミナの消耗を抑えながら徐々に回復を見せていったジョシュア選手。時折返すパンチは変わらず力強くウラジ選手もなかなか思い切った攻撃に出ることができません。そして11回、この回も開始と同時の右パンチでチャンスを掴んだジョシュア選手。踏みとどまるウラジ選手に左フックを決め、そして強烈すぎる右アッパーを一閃させてウラジ選手からこの日2度目のノックダウンを奪った時点で勝敗は決していました。立ち上がってきた元王者を左フック右ストレートで再び倒し、意地で今度も立ち上がったウラジ選手を最後は連打でレフェリーのストップを呼び込んだ末のフィニッシュでした。

Anthony Joshua vs. Wladimir Klitschko - CompuBox Punch Stats

Powerpunches,Jabs

新旧の金メダリスト対決。全勝全KOの若きスーパースター候補にベテランの元絶対王者が挑むという抜群の設定。9万人の大観衆を集めたこの大一番でこれほどの劇的な内容の末の決着。ジョシュア選手が大きな大きなステップアップを遂げた一夜でした。
ただ手放しで喜べる内容ではなかったのは誰もが認めるところでしょうか。2回から口を開けて呼吸しだし、3回開始早々のラッシュ後には肩で息をしている様子に大丈夫かいななどと思ったものでしたが、5回の信じがたいほどの大失速はかつてのウラジ選手を見るようでもありました。ただあの状態、さらに6回の痛烈なノックダウンからの逆転勝利は見事というほかありませんでした。この日も証明した攻撃力はやはり超ド級。
筋肉の鎧が大きすぎるこの身体である以上、この日見せた燃費の悪さってのは逃れられない宿命にも思えますが、ウラジ選手がかつて見せたスタイルチェンジとはまた別の進化法でのスタミナ難克服ってのを見てみたいです。それがどういうスタイルなのか私にもよくわからないんですが。


ジョシュア選手は19勝(19KO)。ウラジ選手は64勝(53KO)5敗。


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3 コメント

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Unknown (あな)
2017-05-01 00:08:21
人間は手足は日本しかなく重心も1つ クイックネスがあれば筋持久力は落ち、フィジカルが増えれば燃費は悪くなる
ベストコンディション同士では必ずなにかがよければなにかが悪くなるわけで、条件の中で最高のバランスをその都度構築するわけです
そう考えればスーパーヘビーの基礎とはこれなのだ、という気もします 全ボクサーのうち四強以外誰も太刀打ち出来ないでしょうしね
ここにタイソンとアリがいれば最高でしたね
コアなファンが教科書的な視点から技術的な課題をいくらピックアップしてみても会場には9万人が集まり試合後は世界が絶賛したわけで、これが需要というものなのでしょう 日本とそう変わらない環境・状況のイギリスがこういう形でボクシング界の覇権をとる… 嬉しくもあり複雑な気分でもあります
余談ですが、四強以外のヘビー級ボクサーは立ち位置と今後の振る舞いの方針がたたないでしょうな 完全に蚊帳の外…
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Unknown (ジョン)
2017-05-01 13:08:46
ウラジももう41歳、スーパースターも年齢による衰えは逃げられないんですね、というか本当にメイウェザーはマクレガーと試合するのかどうか?
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Unknown (すとれいと・くーがー)
2017-05-01 21:22:49
一発と機動力はキープしているものの6回、強振すると右が流れたりラッシュ力を失っていた41歳と不安定過ぎる急失速を見せながらも勢いと若さで回復して倒し返した27歳。
両者の衰えと未熟さが生み出した奇跡的な名勝負だと感じました。
ジョシュアの成長に期待です。
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