
WBCスーパーバンタム級タイトルマッチ
WBC王者西岡利晃選手(Toshiaki Nishioka)が2階級制覇王者ラファエル・マルケス選手(Rafael Marquez)の挑戦を受けた一戦は米国ネバダ州ラスベガスで行われ、西岡選手が12回3-0判定で勝利してタイトル7度目の防衛に成功した一戦でした。
マルケス選手の伸びる左ジャブが先手を奪った試合立ち上がり。非常に慎重に距離を測り合う両者で、手数がともに少ないのですがマルケス選手の正確な左ジャブが序盤のペースをキープしたように見えます。
西岡選手も立ち上がりから伸ばしていた上下へ散らす左ストレートを4回以降単発ながらも強く当てる場面を作って対抗。マルケス選手の左ジャブと西岡選手の左ストレートによる拮抗したペース争いが中盤以降まで続いていくなか、徐々にではあるものの確実にペースを引き寄せていったのは西岡選手の左でした。
10回に西岡選手の左ストレートでマルケス選手の動きが鈍って以降は左ストレートから返す右フックも非常に有効に入りだして一気に優位に立ち、続く11回も西岡選手の力強い左右がペースを圧倒。10,11と出たことで最終回は西岡選手の動きに疲労の色が色濃く滲んだラウンドでしたが、最後まで気力のアタックを続けユナニマスの勝利を掴んでいます。
CompuBox Stats: Nishioka Surges Late With Marquez
公式のスコアは117-111、116-112、115-113の3-0西岡。シロート採点116-112西岡。クロスしたペース争いが続く中、試合終盤で明白に奪うラウンドを作った西岡選手が掴んだ勝利と言えるのでしょうか。試合全体を通して左一辺倒になりがちだったことが気になりましたが、その分終盤で出はじめた右の有効度が増していたようにも感じてなかなか難しいもんです。
西岡選手は39勝(24KO)4敗3分。マルケス選手は40勝(36KO)7敗。
西岡歴史的勝利で7度目防衛/ボクシング(日刊スポーツ)
西岡、7度目の防衛=米国で初、次戦引退へ-WBC・Sバンタム級(時事通信)
西岡快挙、米防衛戦は3人目で初勝利/BOX(サンケイスポーツ)
ボクシング:西岡、判定で7度目防衛 内藤超え最年長記録(毎日新聞)
西岡の次回防衛戦 国内外問わず来春実施か(スポーツニッポン)
世界的プロモーターのアラム氏も西岡を絶賛!(スポーツニッポン)
【ボクシング】 西岡に敗れたマルケスは判定に不満(MSN産経ニュース)
Toshiaki Nishioka Decisions Rafael Marquez To Retain(Rick Reeno/BoxingScene)
Nishioka impressive in victory over Marquez(Michael Rosenthal/ringtv)
Nishioka, Gonzalez retain titles(Andreas Hale and Anthony Springer Jr. at ringside Photos by Chris Cozzone/Fightnews)
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序盤は慎重にジャブを付くマルケスのペースでしたが、マルケスの攻撃を見切ってからは
チャンピオンのペースになりました。
マルケスの左フックに対する警戒からか、右のパンチはそれほど使わない展開でしたが、
チャンピオンの左がマルケスに対して想像以上に効果的でした。
また頭部を負傷して流血するアクシデントに見舞われながらも、終止落ち着いて試合を
戦い抜いたチャンピオンの冷静さも讃えたいです。
西岡選手、本当に素晴らしいチャンピオンだと思います。
左ボディを地道に当て、中盤以降の左のヒットに繋げましたね。
パンチの威力、精度、決定打を与えないディフェンス、戦略と、すべてが高レベルであることを世界に知らしめた一戦だったと思います。
好戦的で、打たれるのを厭わないマルケスをこんなにおとなしくさせるなんて、スゴイと思います。
日本人の緻密さ、頭の良さ、強さを示したと思います。
次戦ですが、ドネア相手ですと、悲観的になってしまいますが、ドネアから見ると、西岡は、自分よりも身長、リーチで勝り、ハードなカウンターパンチを持っていること、
サイドへの動きがあること、等から、ドネアも今までのように、伸び伸びと踏み込んでこれないと思います。
左で脅しつつ、右パンチで翻弄する西岡を見たいものです。
終盤はマルケスのパンチのパンチの伸びが無くなっていましたね。
後半にかけて西岡の一方的な展開でした。
西岡は攻撃パターンは少ないものの、ポジショニングが上手いです。
マルケス陣営は西岡の左を過度に警戒したのか、ジャブで攻めるという作戦でしたが、
あまり器用ではないマルケスには良かったのか、という疑問は残ります。
序盤では良い選択かもしれませんが、中盤で仕掛けるという方法はあったように思います。
すべては結果論ですし、それだけ警戒させる西岡の左がすごいということで。
(以下妄想)
かつて辰吉がサラゴサの左を警戒しすぎて第2戦で萎縮したように、
ジョニゴンへの左がマルケスを萎縮させた??ような試合でした。
そしてマルケスのセコンドがサラゴサ…。何だか不思議な気分です。
最後の3Rは本当に興奮しました。
それと、なりふり構わずパンチを出してきたり、連打がいつもより少なく思えたのですが、
それは西岡がうまく距離を掴んだからでは?
近くても遠くてもうまくコントロールしているように思えました。
それにしても、嬉しい勝利でした。
西岡は本当に大した男です。
※大変勝手ですが、個人的には次戦モンティエル、
次々戦ドネアを希望。
あれは西岡が出させないように動いてたんでしょうか。
序盤左に回ってたのはそのためですかね。
西岡選手のこれまで、を知るファンも同様の安堵の気持ちを抱いた試合後だった気がします。
>ILBさん
ドネアがPFP的視点で頂点レベルを競う突出した選手だとの認識は以前から変わらないわたくしですが、いざ西岡選手とやった場合どうなるのかわからないと私は見ています。
ドネアは現在バンタム級での実績しか見せていない選手で、スーパーバンタムでは何一つ証明していない選手ですから。
>通りすがりさん
このようなタクティカルな試合を勝ち抜く、それも明確な差を見せつけて堂々と
という姿に真の実力に裏打ちされた確かなものを感じられて素晴らしい戦いぶりでした。
>まっからむさん
ドネアとの試合。実現できるのならばぜひ見たい一戦ですね。
ドネアが超一流なのは間違いないですが、現在の彼の評価はモンティエル相手の強烈な勝利で少々暴騰しすぎにも思えます。
西岡選手にも大いにチャンスはあるカードだと私は見ています。
>Ike Quartyさん
マルケスの最大の武器はハードで正確な左ジャブだというのは以前からの私の認識です。
西岡選手がこの伸びる左に面食らっていた、というのは事実だったと思うのですが、左ジャブを食ってしまいながらもそこからの対応を適切に処理し、さらにその後に修正・対応していた姿に本当に感心しました。
>栗鼠狩りさん
結果的にラスト3つが勝敗を分けた試合だったのかもしれません。
12回はマルケスのラウンドとの見方も多くありそうですが、この最終回での西岡選手の姿勢こそが彼の実力の大きな懐を見せたものだったとも私には感じられました。
>観戦記録のファンさん
西岡の左に対する警戒は明らかに感じられました。そのことでマルケスのカードが限られてしまっていたというのは確かだと思います。
逆に西岡選手は左さえ出ていれば危険水域には踏み込まない、という安定感が感じられました。
>条助さん
マルケスが警戒していたのと同様かそれ以上に西岡選手にも警戒している様子が感じられた試合でした。特に序盤。
ただ相手の攻撃への警戒を感じさせながらもそのことで消極的になったり萎縮していたり、というのが全くなかったってのが凄いと思います。
>Unknownさん
西岡選手はもう35歳なんですよね。
高齢ボクサーが活躍するのはここ近年でのトレンドとも言える現状ですが、彼の現在の充実ぶりを見るにボクサーとしての旬の時期というものの認識を本格的に改めなければならないのかもしれません。もちろん個人差はあるのでしょうけれど