徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

ワクチンの同時接種は危険なの?

2011年06月02日 22時39分04秒 | 小児科診療
 2011年3月に一旦停止となった同時接種が4月に再開されました。
 分析の結果「危険なし」と判断されたためです。

 世界の予防接種事情を知る小児科医から見ると当然の結論です。

 一つのデータを紹介します。
 1回の予防接種で同時に複数の免疫をつけることを「同時免疫」と呼びます。方法は同時接種でも混合ワクチンでもかまいません。外国では予防接種で患者負担(医療機関を受診する回数と手間)を節約するために盛んに行われています。
 さて、おなじみの3種混合(DPT)ワクチン接種の際の同時免疫の世界各国の状況は・・・

ワクチン数 ーーー 採用国数
  7種 ーーー  41
  6種 ーーー 139
  5種 ーーー  52
  4種 ーーー  18
  3種 ーーー   1


 一度に6種類のワクチンを同時免役している国が最多です。効率的ですね。おや、3種だけ・・・つまりDPTのみを基本としている国が一つだけありますね。これ、日本です。
 はぁ~、とため息が出るほど世界から遅れを取っている現状が一目でわかります。

 ワクチン後進国ニッポン!

 「ワクチン接種後の死亡例は同時接種が関係しているのではないか」と日本のマスコミが騒いだとき、世界の専門家は「Foolish!(なんて馬鹿なことを云ってるんだ)」と批判したとか。

 そんな日本ですが、明るい話題もあります。

 先日、ロタウイルスワクチンが認可されたというニュースが流れました。
 冬に流行る嘔吐下痢症で、別名「白色便性下痢症」として有名、乳幼児は脱水で入院してしまうこともある感染性胃腸炎です。普及すれば、来年の冬は嘔吐下痢症が激減することが期待されます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする