以前「日本渡航医学会」に参加したとき、「アジアでは日本の虫除け剤は薬の濃度が低くて役に立たない、現地で買うべし」と聞いて驚いたことがあります。
昨今、ジカ熱の話題で蚊対策が注目され、日本政府も重い腰を上げて動き始めたようです;
■ アース製薬、有効成分DEET濃度を30%まで高めた製品を開発へ
製薬会社も厚労省も本気になった媒介蚊対策
医療者やメディアが発信しなければならないこと
(2016/6/23:日経メディカル) 勝田吉彰=関西福祉大学
6月15日付で日本の蚊媒介疾患対策で大きなエポックとなるプレスリリースが出た。アース製薬が有効成分DEETの濃度を30 %まで高めた製品を開発するとともに、それに対して厚生労働省が医薬品製造販売承認の迅速審査を行うと通知したというものだ。海外製に見劣りすることなく、しっかり効果持続時間が確保され実用に耐える製品が日本国内でも販売される見通しが立ったわけである。が、同時に、我々医療側もしっかり発信していかなければと責任も感じることでもある。
これまで、日本国内で発売されている昆虫忌避剤(虫よけ)は主要成分であるDEETが上限12%に規制されてきた。この濃度は肌に塗ったときの効果持続時間と相関し、12%ではおおむね2時間程度の持続時間になる。すなわち日本国内で販売されている虫よけでは2時間おきに塗り直さなければ効果が消失してしまう。このため、野外活動の少年たち(中高年たちも)は、塗り直しを忘れてしまいがちで、デングやチクングニヤ、ジカといった蚊媒介疾患に対して無防備になってしまうという問題があった。
これは相当に深刻な事態で、筆者はいくつかのテレビ番組で、「日本のDEETは12%maxで2時間しかもたない。まずい」とか「自分用は調査研究でミャンマー行ったとき買い込んでくる」とか「2020年五輪を控えて何とかせにゃ厚労省」とか、いろいろ公共の電波でも訴えてきた。また一部の先進的なトラベルクリニックでは米国製を個人輸入して受診者に説明のうえ供給してきた。
そうした障壁が確実に取り除かれ、他国並みに追いつこうとしているのは大変喜ばしいことだ。製薬会社も厚労省もあわせてやる気を見せた今、我々医療者、さらにメディアともども心しなければならないことがある。世間一般が正しくこの高濃度DEETを選択できるよう情報発信せねばならない。
なぜか。これまで筆者が海外派遣者研修を担当してきたなかで、気になることがある。筆者は国際交流基金のプログラムで派遣前研修の講義を年3回ほど定期的に担当している。その派遣先はすべて東南アジアのデング熱などの発生国だから、当然媒介蚊対策も主要テーマの1つになる。
虫よけについては「現地の空港に降り立ったところから蚊がいますから、日本で売られている薄いDEETも1本は買って行き機内持ち込みにすると良いです。しかし、それ以降は現地で高濃度DEETを買った方が確実に長持ちして身を守ってくれます」と強調している。そして筆者が(研究で通うたび)ヤンゴンで自分用に買い込んでくるオーストラリア製Bushman(DEET濃度80%)やタイ製Sketolene(DEET濃度20%)を見せて自分はこれを使っていると示している。
昨今、ジカ熱の話題で蚊対策が注目され、日本政府も重い腰を上げて動き始めたようです;
■ アース製薬、有効成分DEET濃度を30%まで高めた製品を開発へ
製薬会社も厚労省も本気になった媒介蚊対策
医療者やメディアが発信しなければならないこと
(2016/6/23:日経メディカル) 勝田吉彰=関西福祉大学
6月15日付で日本の蚊媒介疾患対策で大きなエポックとなるプレスリリースが出た。アース製薬が有効成分DEETの濃度を30 %まで高めた製品を開発するとともに、それに対して厚生労働省が医薬品製造販売承認の迅速審査を行うと通知したというものだ。海外製に見劣りすることなく、しっかり効果持続時間が確保され実用に耐える製品が日本国内でも販売される見通しが立ったわけである。が、同時に、我々医療側もしっかり発信していかなければと責任も感じることでもある。
これまで、日本国内で発売されている昆虫忌避剤(虫よけ)は主要成分であるDEETが上限12%に規制されてきた。この濃度は肌に塗ったときの効果持続時間と相関し、12%ではおおむね2時間程度の持続時間になる。すなわち日本国内で販売されている虫よけでは2時間おきに塗り直さなければ効果が消失してしまう。このため、野外活動の少年たち(中高年たちも)は、塗り直しを忘れてしまいがちで、デングやチクングニヤ、ジカといった蚊媒介疾患に対して無防備になってしまうという問題があった。
これは相当に深刻な事態で、筆者はいくつかのテレビ番組で、「日本のDEETは12%maxで2時間しかもたない。まずい」とか「自分用は調査研究でミャンマー行ったとき買い込んでくる」とか「2020年五輪を控えて何とかせにゃ厚労省」とか、いろいろ公共の電波でも訴えてきた。また一部の先進的なトラベルクリニックでは米国製を個人輸入して受診者に説明のうえ供給してきた。
そうした障壁が確実に取り除かれ、他国並みに追いつこうとしているのは大変喜ばしいことだ。製薬会社も厚労省もあわせてやる気を見せた今、我々医療者、さらにメディアともども心しなければならないことがある。世間一般が正しくこの高濃度DEETを選択できるよう情報発信せねばならない。
なぜか。これまで筆者が海外派遣者研修を担当してきたなかで、気になることがある。筆者は国際交流基金のプログラムで派遣前研修の講義を年3回ほど定期的に担当している。その派遣先はすべて東南アジアのデング熱などの発生国だから、当然媒介蚊対策も主要テーマの1つになる。
虫よけについては「現地の空港に降り立ったところから蚊がいますから、日本で売られている薄いDEETも1本は買って行き機内持ち込みにすると良いです。しかし、それ以降は現地で高濃度DEETを買った方が確実に長持ちして身を守ってくれます」と強調している。そして筆者が(研究で通うたび)ヤンゴンで自分用に買い込んでくるオーストラリア製Bushman(DEET濃度80%)やタイ製Sketolene(DEET濃度20%)を見せて自分はこれを使っていると示している。