現在流行しているインフルエンザは何型か?
・・・知りたい情報を、東京小児科医会が速報でネットにアップしています(感謝!)。
これによると、2019年末から2020年初頭に流行しているのは「AH1pdm09」ですね。
このウイルス株は、2006年に登場した新型インフルエンザがその後季節性インフルエンザとなったものです。
一方の「AH3」(A香港型)は昨年秋に少し検出されたあとは、ゼロ更新が続いています。
今シーズンのインフルエンザの症状は、初期に体がつらくて嘔吐する例が多い印象があります。
咳ははじめは目立たず、数日後から始まるパターンも目立ちます。
一方で、熱の勢いもなく症状も軽い患者さんでも、周囲の流行状況から念のために検査すると陽性に出ることも。
症状が軽いからといってインフルエンザではないとは言えません。
近年、インフルエンザの患者構成は以下のピラミッドで説明されるようになりました:
これをみると、「高熱で体がつらい、節々が痛い」という典型例は一部に過ぎず、それよりも「軽症」患者やほとんど症状の出ない「無症候性感染」の方が多いことになります。
しかし、「軽症」「無症候性感染」患者さんも弱いながらも感染力はあるので、流行拡大が止まらない、というカラクリが見え隠れしてきますね。
人類はインフルエンザをなかなか征服することは難しい。
それに対抗する手段として考え出されたのがワクチンです。
しかし、変異を続けるウイルスに翻弄されているのが現実。
有効率は50%前後にとどまります。
他のワクチン、例えば麻しん風しんワクチン(MRワクチン)の有効率は95%!
それと比べるとさみしい数字ですね。
私も「かからないためではなく、軽く済ませる目的で接種しましょう」
と説明しています。
ただ、日本全体で考えると「効かないワクチン」と言い切れないと思います。
毎年冬、日本国民の数割がインフルエンザにかかるとされています。
つまり、日本で約3000万人がインフルエンザに罹るのです。
有効率50%でも、それが半減して約1500万人に減ります。
これってすごいことではありませんか?
個人防衛の効果は弱いかもしれませんが、社会活動を維持するという意義は大いにありそう。